あの世への旅立ちの前に、

是非、読むのをおススメしたい

本をご紹介しましょう!

 

『葬送の仕事師たち』井上律子著 新潮社

 

 

話題になった本だから、ご存知の方も

いるかもしれないですね。

 

『葬送の仕事師たち』は 

第14回新潮ドキュメント賞候補に、

選ばれました。

 

著者自ら「死」の現場の携わる

プロの仕事を取材して、

彼らの「生の声」を伝えています。

とんでもない取材力です。

井上さんを尊敬します!

 

『葬送の仕事師たち』

との出会いは、今から6年前。

井上理津子さんの講演を聴き、

この本を買いました。

 

しっかり、裏表紙に

サインを日付入りでいただいています。

 

帯文はこちら↓

「自らを語ることがなかった職種を通し、

「死」を見つめる」

「『ご遺体』まわり、それぞれの思い」

 

もう、コレを読んだら、

目からウロコのことばかり!

あまりに知らなすぎたと、

我が人生を恥じ入りました。

 

葬儀社社員、納棺師、復元師、

エンバーマー、火葬場職員の

仕事場を取材して

裏も表も引き出すなんて、さすがです!

 

(きれいごとだけではありません。

 ちょっとコワい裏の話も?!

 ずるい話も!

 だから、面白いんですね!)

 

是非、読んでみてくださいね!

 

 

昨日、久々に読み直したら、

また別の感動がありました。

 

6年前には気づかなかったけど、

この本に登場する会社や人物が

今は存じあげている方だったりして。

「あっ、この人だ! 知っている!」と

さらに感動が増しました!

 

働く人々もみんな人生いろいろ

あって、働いているんだなーと。

 

葬送は儲けてはいけないビジネスなのか?

 

葬儀社の仕事は利幅がかなり良いらしい。

「ぼったくり」という批判もあります。

バブル期にはお葬式も大規模になり、

「イケイケ、ドンドンの時代」

もあったとか。

 

 

本のなかで、こんな発言がありました。

「(葬儀屋は)明らかに

世間から蔑まれていたから、

そのぶん稼がせてもらわなという気持ちが

あったとおもいますよ」

 

ちょっと、考えさせられますね。

 

昔は人が亡くなれば、身内や近所の人で

遺体の処置、湯灌、納棺、

それに葬具まで手作りで、

葬列を組んで棺を運び、

野辺送りまでしてきました。

 

 

葬儀の後の精進落としの

食事やお餅まで、

地域の相互扶助でしてきました。

 

本当に大変な仕事です。

昔は人に頼むことではなく、

自分たちで行うことだったのですね。

 

昔は助け合いで良かったと、

いう声を聞きますが、

美談ばかりではありません。

 

協力の裏には忍耐あり、

どこの人間関係も確執ありです。

 

ただ、「お互い様」という関係が

しっかりあったのだと思います。

 

業者に頼めるようになったから、

近所のお葬式の準備のために

仕事を休まなくてよくなった。

 

「昔は大変だったよー。みんなが手伝うのに、

うちだけやらわけにはいかんでしょう。

今は、楽になったよね」

 

「嫁くらべされちゃうから、しんどかった」

 

こんな声も聞きます。

 

現代社会では、介護や看取り、

葬送までプロの手を借りられる

時代になりました。

 

 

もはや、プロの手を借りなければ、

私たちの暮らしは成り立たないと、

自身の体験から思うのです。

 

しかし、いくら時代が変わり、

ITとAIの社会になっても、

「死」という現実は変わりません。

 

ご遺体に触れる作業では

火葬中でも遺体から体液が

出てくることもあるそうです。

感染症のリスクもあります。

 

警察からの事件事故がらみの

ご遺体は損傷が激しく。

孤独死の受け入れも

珍しくないそうです。

 

家族でも拒むような

つらい仕事。

孤独死の現場の片づけも

特殊清掃業者にお願いする時代です。

 

 

そんな大変な仕事を担う

葬送の仕事師たちなのだから、

それにこたえる対価を払うのは

当然だとも思うのですが……。

 

プロとはそれを生業にしている人たち。

大変な仕事を担う人が、

それに見合う収入を得られなかったら?

 

いったい誰がしてくれる?

プロの人材が育つでしょうか?

 

だけど正直、

ぼったくりはやめてほしいですね!

 

葬送簡素化は誰のせい?

 

葬送の簡素化が急激に進んでいます。

いままでの過去を振り返り、

葬送文化をダメにしたのは誰?

 

葬儀社のせいだというお寺もあります。

おかげで、お寺での葬儀が激減。

 

昔は地域での相互扶助だったのを

商売にしたと。

 

かたや葬式仏教、檀家制度が

宗教離れを招いている。

寺がけしからん。

離壇料なんて払わなくてはならないの?

 

 

寺と組んで高い墓を売りつける

石屋が悪い! 

だから墓離れが進んでいるとも。

 

サービスでお金をいただく以上、

いろいろな工夫や努力もしています。

この本に書いてあるから、読んでみて!

 

 

どれもが必要な大変な仕事。

敬意をもたなくてはいけない仕事ですが、

 

やはりね……。

利潤ばかり追い続けるとなると、

求められなくなってしまいますよね。

 

だれもが余分な

無駄なお金ははらいたくないもの。

 

私たちにできることを考えよう!

 

でもね、私たち依頼する側にも

問題があると思います。

マナーだけでなく、

どういう「弔いと葬送」を

求めているのか?

 

きちんとそれがわかっていないと、

今はたくさん選択肢があるようだけど、

業者の提供するサービスや

その時代の風潮に流されてしまうだけ。

 

私たちがより良い「弔い」のかたちを

求めていけば、葬送の仕事師たちは

そのニーズに応えてくれるのでは

ないでしょうか?

 

サービスも、お値段も!

 

家族のつとめを考えてみる

 

だけどお葬式なんて、めったに

家で続けてあることではないし、

たいていは、慌てふためいて

土壇場での決断となるもの。

 

社会のみんなが考えないと、

変わりませんよね!

 

 

25年前に他界した父の葬儀、

私は何も考えていませんでした。

今頃、反省しています。

 

家族の務めであった「葬送」の仕事です。

 

なぜ「お葬式」をするのか

私たちでしっかり考えて

仕事師にお願いしていきましょう!

 

家族もできることをして。