ひろかわさとこですニコ
 
 
てんとう虫
春の使者
 
 
フィリピンのシンガーソングライター
ジェイク・ザイラス。
 
 
彼のドキュメンタリーを見た。
 
 
彼はかつて、「歌姫」だった。
 
 
フィリピンの国民的歌手
シャリース・ペンペンコ。
 
 
 
シャリースは
フィリピンの貧しい家庭に生まれた。
 
家計を助けるため
7歳から歌のコンテストに参加して
賞金を稼いだ。
 
 
その天性の歌声で
アメリカでもブレイク。
 
アジア人で初めて
ビルボードのアルバムチャートで
トップテン入りするという
快挙を成し遂げた。
 
アメリカンドリームをつかんだ
国際的歌手。
 
 
しかしシャリースは、名声も歌声も捨てて
男になった。
 
「本当の自分」になるために。
 
 
「精神的にも肉体的にも
自分がゆっくり
殺されているようだったよ」
 
シャリースの頃を振りかえって
彼はそう語る。
 
3度の自殺未遂をした。
 
 
自分が男だと確信するまで
時間がかかった。
 
はじめは
知らなかった。
 
自分がそうだとわかっていなかった。
 
だから、「レズビアン」と公表した。
 
 
その時のインタビューで
 
「もう何かから隠れていたくないんです」
 
と涙ながらに語っていた。
 
それを見て、私も泣きそうになったぐすん
 
 
ジェイクは自分のヒーローとして
ロックバンド・ニルヴァーナの
ボーカリスト兼ギタリスト
カート・コバーンを挙げている。
 
彼の考え方を変えてくれた人だ。
 
 
カートの言葉に
 
「偽りの自分で好かれるより
本当の自分で嫌われるほうがマシだ」
 
とある。
 
 
シャリースだった頃の彼は
まるで聖人のように扱われた。
 
「私の神様です」とか
「私の全てです」なんて言う人もいた。
 
 
本当の自分ではない自分が愛されて
とても悲しかった。
 
だから彼は、本当の自分になろうとした。
 
 
いま、ホルモン療法を行っている。
 
「よく鏡を見るんだ。
 
電気をつけてヒゲを目にすると
嬉しい気持ちになるよ」
 
そう語る彼は、本当に嬉しそうだった。
 
 
「将来はどうしたいですか?」
という質問に
 
「ただ・・・歌っていたい。
 
ホテルの会場でもいいし
大きなステージでも。
 
そしてただ、幸せを感じていたい。
 
幸せであるべきだ」
 
と答えていた。
 
 
ドキュメンタリーの後
ジェイクと歌手のAI
アフタートークがあった。
 
 
AIがジェイクに
 
「あなたの声は何かがあるわ。
 
ただ歌うだけじゃなくて
人の心を動かす何かがね」
 
と言っていた。
 
 
私もそう思う。
 
ジェイクの歌声を聞いた時
鳥肌が立った。
 
 
「ドキュメンタリーを見てどうだった?」
という質問に
 
「見終わって感謝したよ。
 
番組を通じて
なりたい自分になろうとしている人に
手を差し伸べることができた。
 
LGBTでもいい。
 
芸術家でもいい。
 
本当は他の仕事がしたいと
夢みている人でもいいんだ。
 
本当に
心が動くように作ってくれたと思う。
 
僕からメッセージを送ることができた。
 
“君は一人じゃない”とね。
 
本当にうれしかった。
 
ドキュメンタリーには満足しているよ」
 
と答えていた。
 
 
昨年はアメリカやヨーロッパ
そして日本でも
ツアーの計画があったそうだ。
 
でも
パンデミックの影響で
すべて変更になった。
 
 
コロナが落ち着いて
日本ツアーが実現したらいいなあ。
 
私もジェイクの歌を生で聞きたい♪
 
 
なりたい自分になるのって
時に周囲との軋轢を生んだりもする。
 
それでも、「本当の自分」を貫くことが
その人の幸せにつながるんだ。
 
彼を見て、そう思ったほっこり
 
インタビューチャンネル