今年の夏の甲子園は100回を記念する大会であり、出場校も56校と、例年より多く規模の大きな大会となった。しかし代表校を見ると、私立校がほとんどで、公立校は5校しかなかった。


そんななかで、金足農業の吉田輝星投手を中心とした秋田市の地元メンバーでの準優勝は、目を見張るものであり、私が望む高校野球の原点であった。やれば公立高校でも奇跡は起こせることを証明してくれた大会になった。

私立の青田刈りとも思える勧誘は10年ほど前には問題になったが、特退生制度が(学費免除・偏差値は問わない)今では
公然と行われ、関西の選手が北海道・青森。東北の選手が四国とか熊本にいる時代になってしまった。
私立高校にとって甲子園大会は、名前を全国的に知ってもらうのには、格好の機会の夢舞台の大会である。

公立高校と私立高校とでは、部費のかけかたや設備の違いなど練習環境の違いがかなり大きいので、私立全盛もいたし方の無いことかもしれない。しかし、郷土出身の選手達が代表として闘ってもらいたいと思う私は、古い人間なのだろうか。

私の郷土の長野で公立学校の元監督の老師が、35年前の甲子園出場のことを思い起こし、自分史を出版したのを買い求めた。
長野商業元監督の大谷孫二郎氏の著者による「凱歌再び」あの日あの時である。
松本工業の出身ながら、初赴任の長野商業で5年の監督を勤め、その後3校の転勤では何故なのか長野商業に操を立てて監督を請けずに、20年の歳月を経た。そして長野商業に再赴任し、その4年目に念願の甲子園出場を果したのである。

第65回記念大会である。池田高校が夏春と連覇して夏も3連覇めざして、あのPL学園(桑田・清原が1年)で優勝した35年前の大会の話である。

残念ながら初戦惜敗であったが、沖縄の強豪興南高校との球史に残る投手戦を挑んだ。
相手投手・捕手のバッテリーは、その後共にプロへ進んだことを考えると、先行して終始試合を支配しつつも終盤に同点とされ、延長10回に2対1で、サヨナラで惜敗した試合であったが、かなりの善戦の試合であった。

それらをこの本は、第1章に映像を見るがごとくにかなりの頁で、一球一打を、素人も分かる様に似顔絵イラストの監督が解説していて、とても鮮明でユニークで読みやすい本である。

地方の公立学校の甲子園出場というローカルな話題であるが、隠れた秀作になっている本だと思う。高校野球の素朴な神髄をみた気がした。地元長野では書店で売られており話題になっている!

 

長野県内書店で発売されているものの、全国的には手に入りにくい、奥付にあった発売元を紹介しておきたい。

Nスポーツ 026-296-8373 1200円