
佛教思想によると、釈迦の入滅後、正法、像法、末法の時代を経て、佛法の滅びる滅法期になるとい
う。この滅法後五十六億七千万年たったとき、彌勒菩薩が世に出て、また佛法を説くが、その時に備え
て経典を保存しようということから、経典を地中に埋めておく経塚が始まった。ここの経塚は自然の岩
窟を利用しているところに特異性があるが、伝えによれば、この経塚を営んだのは南北朝時代(十四世
紀)の僧、玄翁(源翁)であるという。しかし、遺物から見れば、平安末期(十二世紀)までさかのぼ
るものと推定され、古さからいえば県内でも屈指のものである。
経ヶ蔵という山の名もこの経塚に由来するものであり、昔から当地方人の信仰を集め、神聖視され
てきたところである。 昭和三十七年一月十三日 県史跡指定 酒 田 市
