1つ前に【必読】の記事をUPしてます。

 

 

 

 

大宮妄想小説、BLです。

ご理解のある方のみ、どうぞ。

苦手な方、不快に感じる方はご遠慮下さい。

 

 

 

お待たせしましたー♪

今日から新作、始めます( *´艸`)♡

 

今回のお話は、夏の海を舞台にしたお話♡♡

年下・智と年上・和也で、年齢が逆転してます///

 

いま約20話ありますが、まだまだ続く予定なので

これまでのものと比べて長くなるかも…

 

皆様に楽しんで頂けたらいいなぁ(人´ω`*)。.+

 

それでは♪

今日からまたよろしくお願い致します♡

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和也side



「あっち……」





久しぶりの、海の町。

ようやく着いた停留所に
揺れに揺られたバスから降りた俺を
迎えてくれたのは。

本気で焦げるんじゃないかと思う程
真夏の昼下がりに照り渡る太陽と、潮の香りだった。





「あぁやだもう帰りたい(泣)」





快適な時間を過ごしていたはずの
身体を包んでいたバスのクーラーの冷気が
一瞬にしてどっかに飛んでって。

夏特有の、吹き出す汗地獄に再び苛まれつつ
目の前に広がる海から吹いてくる風に励まされて
相葉さんが待つ海の家へと、バッグ片手に歩きだす。





”はぁ?骨折?”

”そうなのニノぉーーー!!!(泣)”

”…バカでも骨って折れるんだ。”

”ちょっとっ!親友に向かってひどいっ!
バナナの皮に躓いたら誰だって転ぶじゃんっ!”


”ってかバナナの皮で滑る人って、この世に本当に存在すんのね(笑)”

”もうさー!ゴミくらいちゃんとゴミ箱に捨ててほしいよねー!
最近の泳ぎに来るお客さん、マナー悪すぎっ!”


"んで?治るのにどれくらいかかんの?"

”……1か月(泣)”

”うわ、これから稼ぎ時なのに(笑)”

”だからニノちゃーーーん!お願いーーー!!!
ちょっと俺んとこ手伝ってーーー!!!(泣)”






スピーカーかって思う程の大音量で
電話の向こうで拝み倒す相葉さんの勢いに負けて
相葉さんが経営する海の家の手伝いを

半ば無理やり了承したのは、つい昨日の話で。

 

多分、その無理やりの中には。

相葉さんの、いらぬお節介も混ざってる。

 

 




”…まだ新しい仕事、見つけてないんでしょ?”

”…………余計なお世話なんだけど。”

”あれから1か月…経つんでしょ?
…ずっと引きこもってちゃ、ニノがダメになっちゃうよ。”


”……これ以上言うなら、切るよ。”

”俺の代わりにキッチン立てる人、いないんだよね。
ニノさ、代わりにいい?
え、まじ!?ありがとー!”

”いや、いいって言ってな…”
”本当、ニノって親友思いだよねっ!
親友の俺ならさっ!いっつも助けてくれるもんねー!♪”


”………………もういいよ(苦笑)
んで?いつ行けばいいの?”


”もう先週から海の家、開いてんのっ!
だから明日すぐ来てね!絶対ね!待ってるからね!”






最後は、俺に返事を与える間すら与えず
言うだけ言って、切られた電話にため息を吐いて。

元々少ない荷物の中から、必要最低限のものを選んで
その日の夜の内に小さなバッグに詰め込んでから
翌朝バスに乗り込み、ここまで来てしまっている自分は。

もしかしたら
心の、どっか片隅で。

なにか…

変われるキッカケが欲しい、なんて。

 

思ってたのかもしれない。





”和ってさ、本当に荷物少ないよな。”

”え、そう?

…っていうか、あなたが多いだけじゃない?(笑)”

”えぇ、そうかなぁ?
俺だって最低限のものしか持ってきてないけど。”


”最低限って…なに持ってきたの?”

”なにか汚した時用のタオルだろ?ケガした時の絆創膏だろ?
あと予備のリンスとシャンプーに……”


”…ほんっとにあなたって心配症だよね(笑)”

”心配症じゃなくて、用意周到って言ってくれ(笑)”





久しぶりに使った旅行用のバッグを手に
ふ…と蘇ったいつかの思い出に。

大きくかぶりを振って
未だ痛む胸を誤魔化して。

なにもかも全部、吹っ切るように
ぐだぐだ動かしていた歩みを速める。





もう…忘れなきゃ。





何百回目か分からない言葉を
心の中で口にして。


真夏のアスファルトを。

一人バッグを握りしめて歩く。



汗だくになりながら向かった
久しぶりの海で。

賑やかな人の声と、冷涼を誘う波の音。

そして、”BLUE BEACH”と書かれた看板が
見え始めた頃。





「あ、ほら。あれニノじゃね?」

「あっほんとだっ!ニノぉーーーーーー!!!!!」





賑やかなビーチの中でも
ひときわ目立ったバカでかい声が。

 

海と一緒に、出迎えてくれた。