大宮妄想小説、BLです。

ご理解のある方のみ、どうぞ。

苦手な方、不快に感じる方はご遠慮下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
和也side
 
 
 
むせかえりそうなくらい、充満している
古びた鉄のような…血の匂い。
 
窓から差し込む…満月の明かり。
 
 
 
薄れゆく意識の中で…
ギュ…と強く、抱きしめられながら。
 
切ないくらい…愛しい人の声が
耳元で聞こえる。
 
 
 
”……生まれ変わっても…絶対…”
 
”お前のこと…探し出すから”
 
”……和”
 
”……いつまでも……愛してる”
 
 
 
 
 
真夜中の…12時を少し過ぎる頃。
 
いつものように…はっと目を覚ます。
 
 
 
……また。今日も同じ、あの夢。
 
 
 
ハァ…と息を吐いて。
なぜか…この夢を見る度、流れている涙を
いつものように、指でグイ…っと拭い。
 
ベッドから抜け出して、キッチンへ向かう。
 
 
 
冷蔵庫にある水を取り出して
ゴク…ゴク…と、乾いた喉を潤しながら
先程まで見ていた夢を…思い出す。
 
 
 
ここの所、最近。
毎日のように…同じ夢を見る。
 
 
 
ぼんやりとしか…思い出せないけれど。
 
どこか…少し古ぼけたような部屋で。
誰かの腕に抱かれている…夢。
 
 
 
それが…誰かは分からないけれど。
 
でも…その人のこと。
俺は、どうしようもなく…愛していて。
 
その人も…俺のこと愛してた…って。
耳元で聞こえる言葉の端々から…伝わってきて。
 
朦朧とする意識の中…
なんとか気持ちを…伝えようとするけど。
 
そこで必ず…目が覚める。
 
 
 
血の匂いとか…月明かりとか。
本来なら…こんな夢を見るなんて
気持ち悪いはずなのに。
 
なぜか…不思議と、恐怖心は湧かず。
 
 
 
俺を抱くあの人は…一体誰なんだろうって。
 
いつも…その人の正体を
知りたくてしょうがない。
 
 
 
…貴方は…誰…?
 
 
 
再び潜り込んだベッドの中。
 
夢の中のその人を思いながら
そっと…心の中で、尋ねてみるけれど。
 
答えなんて…返ってくるはずもない。
 
 
 
っていうか…。
 
ただの夢に…こんなこと考えても…。
しょうもない…か。
 
 
 
日付が変わって…今日は月曜日。
 
大学の授業…朝から入ってたな。
なんて…ぼんやりと考えながら。
 
再び訪れた眠気に、身を委ねた。