2023年7月18日 琉球新報転載

 

「慰霊の日」に向けて、全校児童にオンラインで「戦争と平和」について話す石川博

久校長=6月12日、那覇市の神原小学校

 

 

 沖縄戦を子どもたちに伝え、ともにこれからの生き方を考えたい―。那覇市立神原小学校の石川博久校長(56)は、仕事の合間を縫って沖縄戦の実相や継承のあり方を学ぶ学習会に参加している。沖縄戦に向き合えていなかったのではないかと省みて、学び直しを始めた。「慰霊の日」の前には、全校児童366人に沖縄戦の講話を行った。学習を通じて感じた「五つの問い」を児童に伝え、自分に引きつけて考える大切さを訴えた。
 

 6月12日朝。通常は10分間の「学級の日」に校長講話がある時間帯に、石川校長は「戦争と平和」のテーマで講話し、オンラインで全校児童に五つの問いを投げかけた。「日本の沖縄戦の目的は何だったのか」「なぜ持久戦にしたのか」「どうして当時の新聞は(負けているのに勝っているという)うそを書いたのか」「沖縄戦は78年前に終わった話なのか」「平和とはどのようなことか」。そして「平和な社会、世界にするために私ならどうするのか。自分ごととして考えて」と沖縄戦の事実を知ってほしいと伝えた。

 児童に話した「五つの問い」は、石川校長が沖縄戦を勉強する中で生じた疑問だ。教師歴30年を経て学び直すきっかけは、戦争経験を聞けないまま両親が他界したことへの後悔からだった。「忙しさを理由に、沖縄戦を直視できていなかった」と悔やんだ。