《闇》

ーーー暗黒。
何も動かない。自分も動かない。
風の吹く気配も感じられなかった。
何も聞こえない。正体の見えない残響だけがそこにあった。
時間はすべて凍りついている。
ここに溜まっていれば、いずれ、生きていることさえも忘れてしまうのではないか……。
そんな予感がした。
このまま、いっそ……。
いや、ダメだ!!
いけない。
抜け出さなくては!!
進むべき方向もわからないままもがいた。
この闇の中から……抜け出さなくては……いけない……。
しかし、どうすればいい??
どうすれば……。
わからない……。
…………。
そのとき、光の暖かさを感じた。
光……??。
そうだ……。
向こう側だ……。
あの場所に行けば……。
ぼくはーーー
静かに、
その目を、開いた。
 
 
男の人
「いきなりですまないけど、知らないかな??

ここらへんにいなかったかな、俺の知り合いなんだけどーーー

ひとりは身長5,1フィート体重17貫、サングラスが似合ってない、手は遅いが足は速くて三枚目……

もうひとりはスーツで丸刈りネクタイなし、耳にピアスが3つ鼻にひとつ、趣味は編物……

そして最後は紅一点、派手~なフリルのたくさんついた地味~な花柄ワンピース……

という、どこにでもいそうな3人組なんだけどーーー
見なかった??」

少年
「いいえ」
少年は首を横に振った。

男の人
「そっか。
悪いね、呼び止めちゃって」
それか軽く手を振って別れた。

少年は順路の先へと歩いていく。

少年
「はぁ……」
軽い目眩を覚えて、壁に寄りかかる。

少年
「なんなんだ、いったい」
溜め息をつく。

正直なところ、疲れ果てていた。
さっき声をかけてくれた係員は、いつの間にかどこかに行ってしまっていた。
優もいない。

ドサっ

少年は、その場で倒れ込んでしまった。
 
 
少年
「えっ!
あ、ああ、そうです」
見透かされた気がして、とっさにそう返事した。

少年
「人を探してるんです!
待ち合わせをしてて、でも、逢えなくて」

係員
「どんな方です??
お名前は??」

少年
「えーと、それはーーー」

???
「ちょっと!!
そこにいる奴っ!!」

だだだっ

いきなり慌しく走り込んでくる足音。

少年
「ええっ??
ぼ、ぼくのこと……??」

男の人
「あ、ああ。そうだ……」
足音の主は急ブレーキをかけて止まった。
その男性も、息を切らせていた。

男の人
「実は、訊きたいことがある」

少年
「は??」
面食らっていると、彼はおもむろに口を開く。

男の人
「なぁ、知らないか??」
こうなれば手当たり次第だ。