昔の僕は、

人に任せるのが苦手でした。

仕事を振っても、

結局気になる。

「あれ、進んでるかな。」

「ちゃんと伝わってるかな。」

「最後は自分で確認した方がいいな。」

そう思って、

また仕事を引き取る。

部下に任せたはずなのに、

頭の中では僕が持ったまま。

メールもそう。

案件もそう。

家のこともそう。

何か一つ気になることがあると、

頭の片隅にずっと置いていました。

それが、

責任感だと思っていたんです。


ある日。

出張で空港へ行きました。

その日は、

少し大きめのスーツケースを持っていました。

パソコンもある。

資料もある。

着替えも入っている。

空港までの移動だけで、

結構邪魔でした。

電車では足元に置く。

階段では持ち上げる。

人混みではぶつからないように気をつける。

トイレへ行く時も、

当然一緒です。

そして空港に着いて、

カウンターでスーツケースを預けました。

タグが付けられる。

ベルトコンベアに載せられる。

そのまま、

奥へ消えていく。

手元に残ったのは、

小さなバッグだけ。

その瞬間でした。

「ああ、楽だな。」

ものすごく当たり前のことなのに、

妙にホッとしたんです。


スーツケースの中身が、

なくなったわけではありません。

荷物の量も変わっていない。

ただ、

僕が持たなくなった。

それだけです。

なのに、

身体が軽い。

歩きやすい。

店にも入りやすい。

コーヒーを買う時も、

いちいち荷物を気にしなくていい。

そして僕は、

搭乗口へ向かいながら思いました。

仕事も、

これができればいいのにな。

---

でも、

よく考えたら、

できない理由があったんです。

僕は、

「持っていること」に安心していました。

自分で確認できる。

自分で判断できる。

何かあれば、

自分ですぐ動ける。

だから、

多少重くても持っていた方が安心する。

仕事でも同じでした。

人に任せるより、

自分でやった方が早い。

自分で確認した方が確実。

自分が覚えておけばいい。

そうやって、

一つ。

また一つ。

頭の中に荷物を増やしていった。


ところが、

厄介なのはここからでした。

手で持つ荷物なら、

重くなれば気付きます。

10キロ。

20キロ。

さすがに重い。

一度置こう。

そう思える。

でも、

頭の中の荷物は見えません。

明日の会議。

部下の案件。

取引先への返信。

来月の数字。

家族の予定。

英語の勉強。

将来のこと。

一つ一つは、

大したことじゃない。

だから持ててしまう。

そして、

持ててしまうから、

降ろさない。

僕は何年も、

そんなことをやっていました。



家に帰っても、

荷物は降ろしていませんでした。

ソファに座っているのに、

「あのメール返したっけ。」

風呂に入っているのに、

明日の会議を考える。

布団に入ってから、

突然仕事を思い出す。

スマホを開く。

確認する。

安心する。

でも、

また別のことを思い出す。

身体は家にいる。

でも、

頭の中ではずっと荷物を持って歩いている。

それでも僕は、

自分の体力が落ちたんだと思っていました。

「もっとタフにならないとな。」

「これくらいで疲れてちゃダメだ。」

「管理職なんだから当然だ。」

そしてまた、

重い荷物を持ったまま、

筋力を鍛えようとしていた。



今なら、

少し違う見方をします。

問題は、

僕が弱かったことだけじゃない。

**ずっと降ろしていなかった。**

こっちです。

しかも、

仕事だけじゃありませんでした。

忙しい日が続く。

食事は適当になる。

寝る直前まで頭を使う。

朝起きた瞬間から、

また次の予定を考える。

休日になっても、

完全には仕事から離れない。

そんな毎日を続けながら、

疲れれば、

気合い。

集中できなければ、

コーヒー。

動けなければ、

「怠けるな」。

僕は、

身体から何か言われるたび、

さらに頭で命令していたんです。


ある頃から、

それでは以前のように戻らなくなりました。

寝た。

でも重い。

休日も休んだ。

でも、

月曜日の朝からすでにしんどい。

大きなトラブルがあったわけでもない。

仕事ができなくなったわけでもない。

それでも、

昔より一つ一つが重い。

そこでようやく、

「もっと強くなる」以外の方向を見るようになりました。

何を背負っているのか。

だけじゃない。

背負っている自分自身は、今どんな状態なのか。

そこです。



僕は長い間、

身体のことと仕事のことを、

別々に考えていました。

仕事が大変なら、

仕事を効率化する。

疲れたら、

寝る。

集中できなければ、

集中する方法を探す。

でも、

それを全部やっているのは、

同じ一人の自分です。

毎日の食事も。

眠り方も。

仕事中の緊張も。

帰宅後の過ごし方も。

休日の使い方も。

全部つながった生活の中で、

僕は働いている。

そこを無視したまま、

仕事の部分だけ何とかしようとしていました。


今は、

昔より人に任せるようになりました。

もちろん、

全部放り投げるわけじゃありません。

確認すべきものは確認する。

責任も持つ。

でも、

任せたものまで、

自分の中でずっと持ち続けない。

そして、

それ以上に変わったのは、

仕事以外の時間です。

家に帰ったら、

少しずつ荷物を降ろす。

休む時まで、

明日のために頑張らない。

身体が重い時に、

すぐ「根性が足りない」と結論を出さない。

僕にとっては、

こちらの方が大きかった。

空港でスーツケースを預けた時みたいに、

荷物そのものが消えなくても、

自分がずっと持ち続けなくていい。

その感覚を、

ようやく日常でも少し分かるようになりました。


そして。

僕がこういう見方をするようになったきっかけの一つが、

今、僕自身も運営に関わっている無料メルマガです。

最初から、

運営側だったわけではありません。

僕も読む側でした。

しかも当時は、

「もっと頑張れる方法」

みたいなものを、

どこかで探していたと思います。

でも、

僕がそこから持ち帰ったものは、

むしろ逆でした。

さらに背負う方法じゃない。

一度、自分が何を背負ったまま生きているのかを見ること。

そして、

仕事のやり方だけではなく、

その仕事をしている自分の毎日の状態にも、

目を向けること。

そこから僕は、

少しずつ生活との付き合い方を見直していきました。

その後に縁があって、

今は届ける側にも関わっています。

だから、

僕から紹介していること自体は隠しません。

ただ、

これを新しい荷物にしてほしいとも思っていません。

「このメルマガも読まなきゃ。」

「また勉強しなきゃ。」

そうなるくらいなら、

今は読まなくていいと思います。

でも。

もう十分頑張った。

仕事もしている。

責任も果たしている。

それなのに、

昔より身体が重い。

休日でも抜けない。

頭の中から仕事が消えない。

それでも、

さらに自分を強くして乗り切ろうとしているなら。

一度くらい、

違う方向を見てみてもいいと思います。

無料なので、

違うと思ったら閉じればいい。

今のままでいいなら、

それも一つです。

ただ、

「もう少し荷物を持てる自分」ではなく、

「荷物を降ろしても大丈夫な自分」に戻りたい。

もし今、

そっちに少し惹かれるなら。

僕なら、

一度読んでおきます。

僕自身、

ずっと背負い続ける以外にも道があることを、

そこから知っていったので。

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