2つのボクシング史上初を掛けた、無敗同士の激突は、ジャブをカウンターストレートとして駆使し、ダウンを量産したクロフォードの一方的な展開により、9ラウンドテクニカルノックアウトで決した。

 スーパーライト級に続き、2階級目の4団体ベルトの統一を成したテレンス・クロフォードといえば自分の中では、エル・サイクロンと異名を持った無敗の元オリンピック金メダリスト、ユリオルキス・ガンボアを2014年KOに下した9年前の試合がベストバウトであったが、本日の試合は正に、ザ・クロフォード。彼のタレントの全てが詰め込まれ凝縮した集大成の試合となった。結果的に無敗対決は、拮抗した状況なく一方的な展開により締めくくられた。

 WBA・WBC・IBFと三本のベルトを持つパワーヒッターにして無敗のエロール・スペンスは、2ラウンドに喫したダウンで打ち急ぐあまり、自ら負の連鎖に陥った。

 この試合で先日見事に勝利した、井上尚弥とのパウンドフォーパウンドランキング論争にも終止符は打たれたであろう。今のベストは、テレンス・クロフォードをおいて、他にはいない。

 史上初の2階級4団体統一。井上尚弥選手は、今年中に史上二人目として歴史にその名を刻することを、楽しみにしよう。

 技術と戦略。見事なTKO勝利により史上初、ウェルター級の4団体統一チャンピオンの凱歌は、テレンス・クロフォードに上がり幕を閉じた。そのパーフェクトレコードは、40戦無敗31KO。敗れたエロール・スペンスは、29戦28勝22KO1敗。ちなみに井上尚弥は、25戦無敗22KO。

 キャリア15年の集大成、そして戴冠、おめでとう!!