2人の日本人選手がアメリカスポーツ界を席巻している。

 大谷翔平と井上尚弥だ。

 日本の方々は意外と思われるかもしれないが、アメリカではキング・オブ・スポーツは、ボクシングであって、ベースボールではない。そのボクシング界で最も権威あるリングマガジン誌において、パウンド・フオー・パウンドランキング(全階級同一評価)のトップという歴史的金字塔を飾った井上尚弥。大谷翔平がその栄誉に比肩する活躍といえば、WBC優勝&MVPがそれに当たるであろ。大谷翔平本人が求める、ヒリヒリする9月を経て、ワールドシリーズ優勝の舞台に輝けば。そしてその決勝の舞台で大谷翔平がリリーフとして最後の選手を三振にとれば…。これは、夢のまた夢であるが。

 

 さて、バンタムウェイトの全4本のベルトを統一した井上尚弥が、階級を上げ、4階級制覇を目指し、難敵スティーブン・フルトンに挑む。このスーパービックマッチ成立の舞台裏を要約して伝えた秀逸な記事を、まずは紹介しよう。

 

 

 井上尚弥を迎え撃つフルトンは、これまで井上尚弥と対戦してきたすべての選手と同じく、井上尚弥撃破に自信を持っていることが見て取れる。さらに裏付けとなる記事をご紹介する。とても興味深いコメントの宝庫なので、是非ご一読願いたい。
  

 

 

 さてさて、本日の本題の片翼に入るとしよう。

 確かにフルトンは、無敗のボクサー9名に土を付けてきた。その実績を井上尚弥のポテンシャルに当てはめてみよう。まず言えることは、その9名に、井上尚弥と比肩して劣らないパンチ力とスピード、リングジェネラルシップを持っている選手は一人もいない、ということだ。フルトンが対井上尚弥戦において秀でるとすれば、当てて接近戦、あるいは接近戦とクリンチの併用。

 さあ、ここで予見値の見せ所となる訳であるが、これまで井上尚弥と対峙してきた選手のすべてがそうであったように、フルトンの経験値の次元を大幅に超えるポテンシャルを発揮する、それがわたくしの予見値である。ショートレンジでのボディフック、顎への左スマッシュ。高速で伸びるジャブ。これらの次元は、フルトンは残念ながら未経験だ。

 井上尚弥の当日のコンディションにもよるが、早い時間帯にショートレンジでのボディフックを効かせることが出来れば、試合は一方的となる。ただし、唯一の井上尚弥が陥る窮地と言えば、無い訳ではない。それは、オーバーワーク。もし井上尚弥が判定で負けるエレメントがあるとすれば、そこだけ、であろう。

 1978年10月28日、プエルトリコの英雄ウィルフレッド・ゴメス(当時26戦25勝25KO1分)対カルロス・サラテ(メキシコ:55戦55勝53KO)のJフェザー級タイトルマッチ(Sバンタム級:井上フルトンと同階級)の歴史を超えられるか。

 7月25日火曜日、乞う、ご期待。

 そして次なる超ビックマッチをご紹介。

 

 

 

 当ブログにおいても紹介済み。エル・サイクロン~アテネ五輪の金メダリスト、プロではフェザー級からライト級まで3階級の世界チャンピオンベルトを巻いた、キューバの至宝ユリオルキス・ガンボアをKOに屠ったスーパーライト級四団体統一王者にして三階級王者の現WBOウェルターチャンピオン、テレンス・クロフォード36歳が、WBA,WBC,IBFウェルター級チャンピオン、エロール・スペンス・ジュニア33歳を迎え撃つ。

 こちらは、間違いなく、激闘必死。従って、近年稀にみる最高峰の打ち合いに終止するに違いない。

 何故なら、井上尚弥と対峙するフルトンのように、つまらない戦法~クリンチ多様の接近刹那・離れ際狙い~に頼ることは、まったく考えられないほど、好戦的な二人のぶつかり合いだから、だ。従って、観るものにとっては、シビレル、たまらないオフェンシブな試合が展開されることとなる。これまで見たことのなかった、相手の能力に応じた新しい引き出しを開けて披歴するといったミックスアップもあり得る程、この二人の闘いはオフェンシブで、高次元だ。これは、記事にあるところの、1981年6月16日に行われたトーマス・ハーンズ対シュガー・レイ・レナードの同級統一戦以上のクオリティを、7月29日(日本時間」30日)見ることが出来るかもしれない。

 

 総括しよう。

 今月末、立て続けに行われる、歴史にその名を刻むこの2試合。

 見どころは、180度異なる。

 前戦は、井上尚弥がどこまでデカい器用なタレントに通用するか。

 後戦は、ヒリヒリするハードな打ち合いを、どちらが制するか。

 いずれにしても、刮目に値する歴史的な2試合。

 乞う、ご期待。