プリゴジン氏の決起が世界に激震を与えたに違いあるまい。しかし、事態を知るための情報の質という点では、全ての発信記事には説得力が乏しかった。書き手の推測・憶測の範疇を出ない結果、圧倒的に具体的な情報が乏しかったからだ。
 その点、コチラの記事は秀逸。
 仲介者であるルカシェンコ大統領が、自分の口で、何が起きたか、語った言葉を拾った記事だ。

 ルカシェンコ大統領によると、24日のおおよそ10時、ルカシェンコ大統領はロシアのプーチン大統領と電話で協議。「プリゴジン氏は電話にも出ない」というプーチン大統領の言を受け、プーチン大統領からの電話にも出ないプリゴジン氏に電話をかけ続け、興奮状態のプリゴジン氏と繋がった11時から6時間に渡って電話で協議。このクーデターを、無血に抑えたことに成功した訳だ。そのやり取りの中で、鍵となった会話が切迫感そのものだ。

 引用開始
「ルカシェンコ氏は、反乱は「虫のようにつぶされる」と強調。そして反乱の影響はロシアだけでなく、その周辺国にも及ぶと説明し、ベラルーシ軍をモスクワに向かわせる準備ができていると述べた。また「故意でもそうでもなくても、一人でも市民を殺した場合、交渉は成立しない」とくぎを刺した。」
 引用終了

 そして赤裸々になった事実は、ここにプーチン大統領は介在せず、プリゴジン氏はルカシェンコ大統領の説得に応じて、矛を収めたという事実だ。クーデタ一を無血に防いだルカシェンコ大統領の功績は顕著で、この事態において、無力を披瀝されたプーチン大統領の鍍金部分は剥げることとなった。

 繰り返すが、この事実は大変に大きいと推測される。ロシアによるウクライナ侵攻においての、歴史的転換点の1つになるであろう。
 さて、ここで、思い出して欲しいのは、ベラルーシのルカシェンコ大統領のニックネーム。
 曰く、
「ヨーロッパ最後の独裁者」

 事態は今後、どのように推移するか、新局面はまだ、始まったばかりではあるが。