昨夜大田区総合体育館で行われたWBA世界バンタム級タイトルマッチ12回戦、井上尚弥(大橋)はジェイミー・マクドネル(英)を1R1分52秒テクニカルノックアウトに下し、3階級制覇の金字塔を打ち立てた。

圧勝に終わった試合後のインタビューで、WBSS参戦を表明したが、試合の出来は、2つの不安材料を露呈した。

1つはねじ伏せにいき、頭を3回強打で叩いたこと。

もう1つは、最初のダウンを取った後、やはりねじ伏せにいき、マクドネルの右カウンターを、ドンピシャ、被弾したことだ。

前者は言わずもがな。頭部への強振はボクサー骨折の可能性が高まる。井上選手には右拳を痛めた前科もあり、トーナメント戦までには修正したいところ。

そして後者は、井上の最大の特質である、
“打たれず打つ”
が、大試合のここ一番という時に、発揮出来なかったことだ。あの申し分ないタイミングのショットに力が残っていれば、打たれ慣れていない井上は倒されていた可能性も否定出来ない。

WBOの覇者テテは呼び込んだカウンターが上手く、WBAのスーパーチャンプバーネットは迷いなく振り切る右の強打が売り物。トーナメントでは、詰めに行っても、これまでのように、いかなる場面でもステイ・クールを忘れず、カウンターをヘッドスリップし自弾を決めて欲しい。

そのセルフコントロールさえ忘れなければ、間違いなくWBSSバンタムウェイト初代覇者の栄冠は、井上尚弥選手の頭上に輝き、歴史にその名を刻すであろう。