『ディア・エヴァン・ハンセン』


映画人っぽい感想を言えば

センシティブなテーマを描く上で

細部まで気を配り

若者から大人、子どもから親まで

共感してしまう多角的な視点で

人の弱さや優しさが、思わぬことで掛け違いを起こすこと

けれど誰もが一生懸命生きていることを描いた

脚本の秀逸さに圧巻だった。


さらに役者の伸びやかな歌声や

歌い出しただけで突然魅力を放つ

主演のベン・プラットの才能がスクリーンから伝わり

歌声で誰かを勇気づける力を持っている人であり

今後も注目したいと思った全感情を映画を観ながら味わってしまった傑作でした。


しかも、自殺した少年との関係を頭の中で探究しながら

それぞれが自分と向き合う物語であり

自殺シーンはいっさい入れず、ラストにはしっかりと

「悩んでいるならば近隣のサイトに相談を」

という注意書きまである素晴らしさ。


観るならば音響の整った映画館がおすすめ

と私からは付け加えたところで、、、



ここからは

ひとりの人間として

ひとりの親として書き綴ります。


願いを想像するのが得意で

それについては驚くほど饒舌になるエヴァン。


それこそ他人には真似出来ないことで

ライターや小説家になる才能を秘めている。


歌詞を作るのだって出来るかも。


他人と上手く話せなくたってなれるような職業。


友達なんて無理に作らなくたって

皆と仲良くしなくたって

時々、悩みを話せる人がひとりくらい居たら大丈夫だったりする。


私はそんな人物でいられただろうか?


あの子や彼を思い出して聞きたくなったけどそれもエゴだし

もう会えないところにいる。


私はこのままいったらジュリアン・ムーア演じるエヴァンの母親みたいに

なっていく気がして、彼女の言葉や彼女の態度、

彼女が息子に伝える歌を泣きながら聞いた。


誰かに頼るのも嫌、貧乏と思われるのも嫌

だから子どもの未来の為に一生懸命働く。


それを子どもにいつか気付かれたら

きっと娘はエヴァンのような行動に出るかもしれない。


想像力のすごさも、考えすぎるのも、じっとしてられないのも

感情が爆発するのも、全部、私にはすごい才能に思える。


私は、鈍感力だけは身に付けているし

人の長所を見つけるのだけは多分得意。


だから受け止めるくらいはきっと出来る気がする。


あとは自分に忘れないように、


ディア・サトリ


ほんのちょっとでも話を聞いてあげられる時間と

精神的なゆとりを待ち合わせられる人になりたい。