この頃
子どもの発達心理についての本を読み漁っているんですが、その中で
「性の揺らぎ」
という言葉が頭から離れずにいます。
この秋に公開された
『トムボーイ』もそんな子どもの心を描いた作品であり
話題となった『燃ゆる女の肖像』を撮ったセリーヌ・シアマ監督の
長編2作目に当たる作品です。
女の子として生まれたものの
男の子になりたいロールは
周囲の友達に男の子として見てもらうために
水遊びやトイレにいたるまで様々な無理をしていくのです。
ロールがトランスジェンダーとして
男の子になっていくという具体的な感情は描かれないのですが
確かにこの歳の頃、自分も性の揺れを経験したことを思い出したのです。
きっかけは、薬師丸ひろ子が銀幕デビューを果たし、好きになり
『セーラー服と機関銃』を真似てベリーショートにしたことでした。
そもそも両親は男の子を望んでいたので青色の服や小物、ズボンばかり私に与え
そこにショートヘアとなれば、クラスでは恰好のイジメの対象となり
「オトコオンナ」とあだ名が付く中で
クラスメイトの女の子からキスをされ
自分の心は男の子かもしれない
自分は女の子が好きかもしれない
と誰にも言えずに悩んだ遠い記憶を。
性教育者の村瀬先生の本によると
胎内では遺伝子により男女の形に変化していき、
その後、脳が男女に形成されていくのだそう。
だから、脳と身体が合致しない人だって生まれるという。
これを知るだけで無知による偏見がはびこっているのが分かるのです。
そう考えるとこの映画のこともより理解出来ると思うんです。
では自分は偏見をまったく持っていないか?
そこは意外なところから首を傾げることにもなり。
6歳になった娘は、最近、「ボク」と自分のことを言い始め
自分の中で小さな衝撃が走ったのは事実だから。
それでも「女の子はワタシと言わなくちゃ」と伝えるのも違う気がして
「どうしてボクと言い始めたの?」とふんわり聞くと
「べつに、なんかカッコイイから」という返事で、
しばらく見守ることにしたのでした。
そもそもボクは、男の子の主語であると考えるのも
間違っている気がし始めました、とさ(^^)