熱のせいで悪夢を見て早々起きてしまった私は、悪夢のような残酷ででも素晴らしい映画のことを書こうと思いつきました。
『十二人の怒れる男』や『狼達の午後』とか男たちの葛藤をしぶ~く描き出すシドニー・ルメット監督の新作『その土曜日、7時58分』(10/11からロードショー)。
最近、家族内での殺人事件がニュースでも話題になっているけれど、この家族は恐ろしいくらい愛と憎しみが表裏一体で身の毛もよだつほど!
ニューヨーク批評家教会賞やロサンゼルス批評家協会賞ほか各賞を取るのも納得の緻密な人間模様。
大好きなぷよぷよ演技派フィリップ・シーモア・ホフマンさんがリッチな会計士のお兄ちゃん。
離婚した妻に養育費も払えないダメ弟に、悩める男を演じさせたら右に出る者はいない(?)イーサン・ホークさん。
そんな2人の間にいる兄のセクシーな妻にマリサ・トメイさん。
ある日、お兄ちゃんは弟にある計画を持ちかけるわけ。
「両親の宝石店を強盗しないか?俺たちは店の事もよく知っているし、絶対にバレないし、もちろん傷つけない」
世の中、そんなに甘くな~い。
誤算が誤算を生み、小さなミスがやがて大きな穴となり、ジワジワと兄弟を追いつめながら、隠されていた兄弟の裏切り、秘めていた両親への愛憎が浮き彫りになっていく様は見るもおぞましいっ
パパの執拗なまでの事件への執着!
ホフマン兄ちゃんの秘密!
イーサンのダメっぷり!
セクシー妻のどこまでもオンナなところ!
それぞれの思惑が絡み合って物語は予想もしない展開を迎えますっ
人間の心理描写が怖いくらい見事過ぎっ。
自分の子だからこそ、自分の責任であり自分の分身。
兄弟(姉妹)を憎くて憎くて仕方がない、でも愛おしいからなお許せない。
同性で歳も近いから比較されやすくて、自然と親からの愛の分量を感じてしまう。
兄弟の心理だよね。
姉妹の末っ子としては、イーサンの勝手ぶりと甘えっぷりに頭が痛くなった
もしかしたらこの秋一番の繊細な人間心理ドラマかもねぇ?