茜色の空

茜色の空

ピグライフの5時以降に見られる茜色の空が好きです
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ソーメンが高2の時、それは起きた。


お母さんがいつものように

ソーメンの携帯の中身をチェックしてる時に← これも問題だよね

彼の母は、犯罪の痕跡を見つけた。


それは、とてもとても、犯罪と呼ぶにはあまりにも小さな罪だったが

それでも、今後の彼の人生形成を考える時に

大きな災いの元になるようなものだった。


お母さんは泣きながら、真夜中に私のところに電話してきた。

(生徒にも、生徒の保護者にも、私は24時間相談可能と言ってあった)


どうすれば良いかわからないこと。

ご主人に相談したところ「放っておけ」と言われた事。

子供の顔を、まともに見られない事。



私は涙ながらに話す彼のお母さんに、言い放った。


「彼がしたことは、犯罪です。

放っておいてよいはずがありません。」


家族は楽しみを共有するためにいるのではなく

困難を一緒に乗り越えるためにいるのではないのか。

罪を犯したソーメン自身より、無関心な彼の父親にむしょうに腹が立った。



ソーメンのお母さんは、私のその冷たい一言を聞いて、押し黙った。

そして、彼女が次の日に起こした行動は

私の想像を超えていた。



彼女は、ソーメンのPCと携帯を持って

地元の警察署に相談に行ったのだった。


一体どんな母親が、実の息子を犯罪者にしたいと願うだろう。

お母さんは、私との電話を切った後

おそらく、とてもとても悩んで、泣いて、傷ついて

それでも、息子の将来をまっすぐにしたくて

警察に行ったのだと思う。


ソーメンのPCと携帯はそのまま押収され

調べられることになった。

そして、彼が学校から帰宅するのを待って

本人への聞き取りもはじめられた。


「学校を退学になるかも知れない事は覚悟しているようです。

自分がどんな罪を犯してしまったかも、ようやくわかったようです」


何て可哀相な親子だろう。

そして、何て素晴らしい親子だろうか。

息子の罪を警察に相談しに行った母親。

その母親の行動を見て、反省し

大好きな学校を退学するかも知れないのに

静かに事実を受け入れた息子。



結局、彼は厳重注意で事なきを得た。



その後も、彼の成績がいきなり上がったわけではなく

高校卒業まで、ギリギリの状態を維持し

大学に進んで行った。


10代で乗り越えるには、あまりにも大きすぎる山を乗り越えた私の生徒。


今、就活に励む彼を、私はまったく心配していない。

彼が経験してきた事は、就活なんてくらべものにならないほど

つらくて、苦しくて、激しいものだったのだから。


こうして、思い出して書きながら、改めて感謝の気持ちでいっぱいになる。

私は、本当に良い生徒に恵まれた。