暫くあいだが空いてしまいましたが、皆さん元気にお過ごしでしたでしょうか?

今回は上記タイトルについて考えてみたく存じます。


というのは、最近「DSM」というアメリカの精神医学会が発行している診断基準のマニュアルが改訂されて、今回は第5版を数えるに至りました。

まだ日本語訳が出ておらず、今後は学会の作業チームも参加して(?)日本語版のDSM 5が上梓されることと思います。



DSMそのものの話はともかくとして、今回彼の地でもうつ病の診断についてかなりさまざまな研究や意見交流がなされたと、ここ日本にも漏れ聞こえてきているそうです。うつ病に関しては(診断区分の話はともかくとして)事前研究で、かなり診断の一致率が低かったことが明らかになりました。言い換えるならば、同じうつ病の疾患でも診る医者によって診断が違う、一致しないということです。



ではなぜこんなことが起こるのでしょう?

うつ病という疾患が突然変異して、変質してしまったのでしょうか?

アメリカ人の精神科医が大雑把で、緻密な作業診断ができなくなったのでしょうか?



勘の良い方は薄々感じていらっしゃいますね。

アメリカ人が大らかなのは事実として(笑)、ウイルス疾患でもない病気が変質するとは思えません。


そうなんです、うつ病診断の一致率低下の原因は、疾患概念や診断基準の問題なんです。日本っだけではありません。アメリカの精神科医も悩んでいるのです。



では、その現状をどう乗り越えようと彼らは努力したのか?

うつ病の原因や病態を更に研究して、診断の精度を上げたのでしょうか?



いいえ驚いたことに彼らは、どの医者が診てもうつ病と診断できる(一致率を上げる)ために、疾患そのものの基準や精度を下げて診断するという、にわかには信じがたい手法を採用したのです。

つまり「最少公倍数」的に...、悪く言えば診断を「緩く」することによって「うつ病」を理解しよう、把握しようとしたわけなんです。


これに従うと、親が他界して長く悲しんでも「うつ病」、生理前に気分が塞いでも「うつ病」、なんだそうです。悲しみ・抑うつの理由を問わずに診断するんですから、当たり前と言えば当たり前、一応理屈は通ってます。



でもでも、皆さん

本当にそんな診断手法で良いのでしょうか?

もちろんその理由は何であれ、悲しんでいる人・悩んでいる人に援助の手を差し伸べることに躊躇はありません

でも、理由も問わず「あなたはうつ病(病気)なんだから、治療しないと(特に薬で?…」、というのはかなり乱暴な話ではないでしょうか?



この流れは決してアメリカだけのお話ではありません。

日本でも、理由・原因は何であれ憂鬱ならば「うつ病」というステレオタイプな

潮流がここ数年ずーっと続いています。

インターネットに氾濫している「チェックリスト式」の診断(?)ツール、あれもそうです。アメリカの精神科医や日本の精神科医でさえ一致率の低い「うつ病」の診断に苦慮しているのに、紙切れ一つの質問用紙で正確な診断が出来るわけがありません。


症状が当てはまるから、チェックリストで点数が基準値より高いから、だからうつ病なのではありません。安易な診断が、かえって適切な介入や理解を妨げてしまうリスクも考慮して、参考程度にお使いください。

何でもかんでも、うつ病にしたがる医者の側の問題もありますけどね。


では、また次回

最後までお読みくださりありがとうございました