「まず、これがいじめとかそういうことではないってのはいいな?」
「うん。」
まずは犯人の動機の確認。これは最初からありえない可能性だったけど。
「ついでに言えば軽いいたずら・・・ってわけでもない。」
「うーん・・・」
こちらは完全な同意を得られず。まぁ、今から説明するからいいんだけど。
「どこが疑問?」
「軽いいたずらでもないなら他に動機は?」
「ある。それが犯人の動機だからな。」
「ふーん・・・。」
鈴子は考えてもわからないといった様子。
「軽いいたずらって可能性はたけしが消してるんだよ。」
「そうなの?」
「ああ。たけしは素直に自白したやつには何もしないさ。何かしようとしても冬舞が止めるだろうし。」
これが思いつかなかったのは少し反省。冬舞は暴力を望む人間ではない。素直に言い出してくれた人を必要以上に咎めようともしないだろうし。
「なるほどね・・・。じゃあ、みんなに素直に言うように言ったのがカムフラージュだった・・・ってのは?」
それは俺も考えたことだ。鈴子も同じように考えたようだな。
「ない。たけしみたいなガキ大将ってのは考えてること表にメッチャ出るだろ。」
「・・・確かに。」
クールなリーダー・・・ってわけじゃないしな。遊んでいるのを見ても喜怒哀楽がはっきりしていて、見ていて結構面白いとも思ったほどだ。
「だから隠し事はできない。よって犯人は・・・」
「女子になるってこと?」
首肯。さっき俺が指さしたのは女の子だ。
「ふーん・・・それじゃ私には動機も思いつかないわ。」
「そう。ま、これはお前のこの質問もヒントになってるわけで・・・『冬舞に彼女はいるか』って。お前がその質問をしたのはあの娘を見てだろ。」
鈴子は頷くことで俺の質問に肯定の意を示す。
「だって、あの娘冬舞くんと話したそうなのに遠慮してて・・・。」
あの娘とは、俺が指さした女の子。冬舞が遊んでいる間、ちらちらと冬舞の様子を伺っていた。
「普段はよく話すような仲って考えたわけだな。どうやらそうじゃないみたいだ。それが今回の動機になる。」
鈴子は首をかしげる。きょとんとした表情とその動作の組み合わせは可愛いと言えないこともない。
「ま、リコーダー盗まれるのは美少女って決まってるんだけどな・・・動機はまぁ・・・わかるだろ?」
「それはわかるけど・・・。でも、冬舞くん男の子でしょ?それに犯人だって女の子だし・・・。」
「犯人は女の子じゃなきゃダメだろ。男が男の盗んでもいいことがない。」
「え、じゃあ何、動機はその、なめ・・・とかそういう・・・」
「たぶんそうではないだろうな。要はきっかけ作りだよ。あの娘は冬舞と話すきっかけが欲しかったんだ。それで冬舞のものを盗んだ。大方落ちてたのを返す・・・とか言ってきっかけにしたかったんだろうけど、そもそもに話しかけること自体ができなかったんだろうな。ずっとできてなかったことだし。」
「なるほど・・・。ところでその美少女のくだりいらなくない?」
「まぁ、確かに・・・。けど、異性が盗んだって発想はそっからじゃなきゃ出てこなかった。」
まったく・・・人は本当に見たいものしか見ない。俺はその発想が出るまで同性が盗んだという結論だと思ってたし、そうでない可能性が浮かんでも否定していた。ありがとう二次元。
「なるほどね・・・。まさか美寒に探偵の素質があったとは・・・。」
「ないない。リアルの探偵はフィクションのと微妙に違うらしいし。」
「まぁ、でもよかったじゃない。あとはどうするの?あの娘のために冬舞くんには教えないで返してもらう?」
「それもいいけど・・・冬舞にこれを教えて、返してもらいに行かせよう。そうすれば話せるし。冬舞にはただ単に話すきっかけが欲しかったってことは教えてな。」
「・・・意外と美寒って優しいんだね。」
「え?」
「ううん、なんでも・・・。」
なんか気になったけど・・・ま、いっか。これで事件も解決。
冬舞たちが遊び終えたあと、俺は冬舞にすべて話した。そして返してもらいにいくように、あまり盗んだことを責めないようにという2つのことを言いつける。
そして休み明け、俺が学校から帰宅すると冬舞が帰ってきていて、リコーダーを返してもらったことを教えてくれた。よかった、俺の閃きは外れていなかったようだ。なんだかんだ言いつつ不安もあったのだ。
ちなみにその娘・・・愛希(あき)というらしいのだが、冬舞と話せるようになったようである。よかったよかった。
――よくねぇ。なんで弟だけモテるんだよ。
★
完結・・・というわけなのですし。
まぁ、反省は書けないものは書くなってとこですかね。
先入観って怖いなぁ・・・ってお話にしたかったんだけど、もっと簡潔にできないとね。簡潔に完結。
・・・あぁ、石投げないで。
次からは簡潔な短編目指します。ポイントは「書きます」じゃなくて「目指します」なとこですし。
まぁ美寒の倹約癖や白銀家について短くて楽しいのを書けるように・・・
ま、そんなわけでして。
暇j・・・優しい方々ありがとうございました。ではでは・・・ノシ