原因不明のまま終わった診察から3年。


いつからと知れず、私の体の中で静かに病変は進んでいた。
もちろん、この時点で自覚症状と言えるものは何も無い。
過多月経は既にいつものことだししょぼん、生理周期が一向に定まらないのも、これまた私にとっては“普通”だった。


そんな状態の中、微かな異常が現れたのは平成17年の8月上旬のこと。


その日、風呂上がりで喉が渇いた私は、涼みがてらにコンビニへ行った。
深夜なので自転車で行ったのだが、走っている間から“シャー”と耳鳴りのようなものを感じる。
そして、わずかにだが平衡感覚がおかしい。
真っ直ぐ走っているつもりの自転車が、左側へ寄って行ってしまうのだ。えっ
幸いコンビニはさほど離れた所では無かったため、大きな事故になることもなく無事到着。
気のせいかと、そのまま店に入り買い物を済ませようとしたのだが、今度はレジ待ちの間にスーッと血の気の引いていく感覚が…。ガーン
(ヤバい汗
と思ったときにはもう、先ほどの耳鳴りが大きくなって周囲の音が聞こえなくなった。
ちょうど、支払いのために持っていた硬貨も、指先の感覚が鈍くなったせいで落としてしまう。
何枚かぶちまけてしまった硬貨を拾おうとしゃがんだら、何とか耳鳴りが止んでめまいのような感覚も治まった。
店員さんから「大丈夫ですか?」と声を掛けられたが、その時には一応大丈夫になっていたのでとりあえず支払いを済ませて店を出る。
…帰りも少し耳鳴りがするような気がしたものの、自宅へ戻ってみると症状は消えていた。
(今のって、貧血?ガーン
と不安になったものの、ちょうど生理が終わったばかりだったし、風呂でも長湯してしまったこともあり、おそらく一過性のものだったのだろうと判断した。


実際、翌日以降に同じような症状が出ることはなかったのだ。
2ヵ月後の10月までは…。