呼ばれて入った診察にいたのは、おそらく60代と思われる男性医師だった。
ここで、一つ落胆。
(出来れば女医さんであってほしい)という希望は叶わなかった。
産婦人科といえば<内診>。
やはり、女性医師のほうが幾分かは気が楽なのは当然のことだ。
とはいえ、既に診察室に入ってしまったからには、先生が男だからと帰るわけにはいかない。
(いや、本音を言えば帰りたかったけど)
H医師「どうされました?」
事前の問診表記入なども無かったから、全部自分の口で説明しなくちゃいけない。
今になって思うと、コレも結構イヤだ。
だって、初対面の医師にイキナリ生理のことやら男性経験やら妊娠の可能性(つまりは最近の性生活の有無)とかを話さないといけないんだから。
私「生理が急に重くなったんです。普段の倍くらいにはなってるみたいで…。」
H医師「それはいつから?」(カルテに記入しながら)
私「今月の生理からです」
H医師「いま、何日目?」(上に同じく)
私「4日目です」
H医師「出血は今も多いの?」(上に同じく)
私「はい、かなり多いです。普段の2日目くらい」
と、ここでH医師は初めてこっちをチラッと見た。
診察室に入ったときと今の一瞥と、私のほうを見たのは合計でも10秒ないんじゃないだろうか?
H医師「出血が多いんなら、今日は診せてもらうわけにはいかないね」
私「はあ…」(ちょっとホッ)
H医師「止血剤と貧血にならないように増血剤を出しとくんで、来月も同じようならまた来てください」
私「はあ…。その時は出血が止まってからの方が良いですか?」
H医師「そうね、そうでないと、今日と一緒で診れないからね」
私「…わかりました。ありがとうございました」
H「はいどうも」
なんか漫画みたいなやり取りだけど、ホントにこんな感じだった。
受付のお姉さんに輪をかけて無気力な話し方。
正直、(内診しようと言われなくて良かった)って思った。
受付で薬の説明を聞きながら(ココには2度と来るまい)と誓った。
後で友達にこのことを話したら、実はH医師は某総合病院で副院長まで勤めた、かなり有名な先生だったらしい。
でも、世間の評判はどうあれ、あんなやる気のなさそうな医師には診てほしくない。
もちろん、あれからH医院には全く行ってない。
…でも、未だにあるんだよね、H医院。
ってことは、そこそこ患者さんいるんだろうな