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今日は東京、晴れたり曇ったり雨降ったりでお天気記号、全員集合で、お天気予報屋さんだったらむっちゃ疲れただろうな的、マゼマゼ天気な一日でした。

でも、夜の公園じゃコオロギ君(アルト)と鈴虫さん(ソプラノ)が大合唱コンクールをやっていて、私は『秋だねっ!!頑張ってね(^O^)』って鈴虫さんと蟋蟀君達にエールを贈った。

とある蟋蟀君が、声をあげすぎてフラフラして私の足元で倒れ込んだ。『ちょっと大丈夫!?』と私が聞くと『ぉ・・み・ず・・』とだけ言って苦しい顔をしている。掌に乗せてみると、彼の脚は、枯れ葉の様に、軽い風でなびいてしまう。息が荒い。私は『分かった!』と言って公園の中にある池に走った。無我夢中だった。『無理したのね?!、秋は芸術の秋だって人は言うけれど、アナタの声は誰よりも秋らしくて、素晴らしかったわ。・・可愛い彼女とか出来た?!』私は走りながら夢中でいくつか質問したりしてみたけれど、彼は何も応えなかった。

池にたどり着く頃、私の息は荒くなり、逆に蟋蟀君の息は静かになっていた。鈴虫や蟋蟀の鳴く声がこれ程までに切なく、啜り泣く声に聞こえたのは初めてでした。
『水だよ。水だよぉ』私は池の水を彼を乗せていない方の右手ですくい、彼に飲ませようとしましたが、蟋蟀君は全然飲もうとも起きようともしない。

『はぁっー』私の息切れがため息になった、その時、左手の蟋蟀君が跳んだ。『えっ?!』私は思わず声をあげた。
彼は池にアメンボみたいに浮いてみせると、『ゴクン、ゴックン』と大量の水を飲んでみせた。
『えっえ!?』私は思わず大声をあげた。先程までチョコレート色だった蟋蟀君が赤いアメンボ色になり、よく見るとお尻が蛍みたいに蛍光色に光ってる。『アナタ、蛍だったの?!』と私が聞くと彼は『僕が何者だって関係ないじゃない!!』そう言って、又、飛んだ。空高く、飛んだ。

高く飛んだ彼は東京タワーの1番上の光りになったみたいだった。『アナタが何者であっても私はアナタに憧れる。走らせるアナタへの想いは私の最高記録。』

『大人になれば奇跡はおこるぅーよ。』
明日はどんな奇跡が起こるのだろうか?!

コオロギ君、小さな秋をありがとう。
東京の秋。