今日は、六本木の俳優座劇場て、アーサー・ミラー原作の「彼らもまた、わが息子」を観ました。
とても緊張感のある見ごたえのある舞台でした。お勧めいたします。
お話は、大戦期を生き抜いた家族が必死で手にしたアメリカン・ドリームとその破綻を、冷酷なまでに緻密に描いたサスペンス・ドラマです。過去の事実に向かい合おうとしない男の物語です。
演出には、桐山知也さんでした。配役は、登場人物の設定年齢に実年齢が近い俳優をキャスティングしてました。
出演者には、演劇集団 円の吉見一豊さん
文学座の 山本郁子さんでした。
吉見一豊さんと山本郁子さんのお芝居に圧倒されました。

お芝居は、二幕で、2時間40分ぐらいでした。アーサー・ミラーの戯曲の凄味に圧倒されました。
ひとつの台詞には、たくさんの意味が含みこまれ、最後に提示された物語の全体像に言葉を失いました。
前半は、いかにも嘘みたいな、幸せな家族が出てきます。
後半は、息つかないぐらい、怒涛の展開でした。崩壊していく、かつての幸せだった家族を思うとやり切れなりました。
人それぞれの持つ信念と正義の違いによる感情と関係性の変化のモヤモヤが
現実感があり、圧巻の舞台でした。
何が正しいかは、人それぞれ違います。 その正しさは、もしかしたら他の人を踏み台にしているのかもしれない。反対側から見たら、悪なのかもしれない。
人は、いかにあるべきか、考えてしまいました。とても、面白かったです。
心から、お勧めいたします。




 
昨日、岩井俊二監督の新作「ラストレター」を観て来ました。岩井監督の作品らしく、とてもみずみずしい感動がありました。お勧めいたします。
お話は、松たか子さん、広瀬すずさん、神木隆之介さん、福山雅治さんらが奏でる恋愛ストリーです。
初恋の人と再会したヒロイン、ヒロインを彼女の姉と誤解した小説家、母に送られる小説家からの手紙に返信を書く娘の、心の再生と成長が描かれてました。
岩井俊二の監督の作品は、とても優しくていいです。心が穏やかになる英語です。
ストーリーを楽しむというより、その人の人生を近くで見せてもらっている気になりました。とても、リアルに迫ってきました。
ラブレターでは伝わらない想いを役者が静かに深く語っていきます。
福山雅治さんの内に秘めた恋心、熱い思いは、どこかやさしさと温かさが漂います。
広瀬すずさんの水晶のような透明感のある演技がさらに素晴らしかったです。
松たか子さん、豊川悦司さん、中山美穂さんがラブレターの行間を読むような演技を見せています。
小雨の中、福山さんを見送るシーン、傘をさした広瀬すずさんと森七菜さん実に美しかったです。
この映画は、壮大な盛り上がりや迫力あるシーンがあるわけではありませんが
ほっとさせるユーモアや優しさの中に締め付けられるような儚さや人間の美しさが随所に散りばめられ、人の心を惹きつけて離さなかったです。
まさに岩井ワールド全開でした。
心から、お勧めいたします。



  
今年の最初の映画は、「男はつらいよ お帰り 寅さん 」を、観ました。
とても、懐かしく、切なくて、良かったです。お勧めいたします。
この作品は、渥美清主演の『男はつらいよ』シリーズ50作目の映画です。
車寅次郎のおいの満男と初恋の泉が再会する物語が描かれてました。
吉岡秀隆さんが、満男を演じ、泉役は、後藤久美子さんです。倍賞千恵子さん、前田吟さん、浅丘ルリ子さんらが共演してました。

久しぶりの寅さんを楽しかったです。
おなじみの懐かしい皆さんやくるまや、スクリーンで再会できて嬉しく思いました。
渥美さんがいらっしゃらないので、回想シーン中心になるんだろうなとは思っていましたが、
この映画の中で寅さんは生きてました。
回想シーンもストーリーに合わせシリーズの名場面、名セリフをチョイスし寅さんとの空いてしまった時間を一気に縮めてくれた。寅さんを知る者にとっては至福の再会の時間でした。

寅さんの登場は、とても自然で、一本の映画としても、シリーズ最新作としてもきちんと成立してました。
懐かしい思い出と今の現実のわたしの思いも交錯して、最後は涙でした。
心に染みる、とても素敵な映画でした
寅さんに会いたい。