こんにちは、さとです。

いつもブログを読んでくださってありがとうございます。

昨日は時間が足りずタイムアウトしてしまいました…！

今日取り戻します汗

世界観ブログ12日目の今日は、心のノートの続きです。

心のノートを通じてやり取りしていく中で、先生がよく聞く質問があった。

それは、何に「怒り」を感じたかである。

これは何度も書いてきてねと言われた。

私は親に反抗したり兄弟喧嘩をしたりすることがない子だった（書き忘れていたけど兄がいます）。

クラスメイトも穏やかな子が多く、あまり喧嘩しているところを見たことがなかった。

そんな私たちを見て、先生は「怒り」の感情にも目を向けるようにしたのかもしれない。

ある日の心のノートの日記に、こんな内容があった。

悪口をみんなから集めて言ってくるさおちゃんのことを書いたのだが、それに対する「少し言えるといいね」「このままでいいの？」という言葉に、私はその時ちょっと寂しい気持ちになってしまった。

急に突き放された感じがしたのだ。

でも、先生の言う通りだと思った。

ここでいくらぶちまけていても、何の解決にもならないのだから。

「やめてよ！」

その一言が言えれば何の問題も無いのに。

口で言えないなら張っ倒してやればいいのだ。

ちょっと小突いただけでも、効果は絶大だろう。

普段おとなしくて何もやり返さない私がそんなことをしたら、ものすごく驚くに違いない。

しかし、ついぞそれは叶わなかった。

私は相変わらず、何も言い返せないままだった。

そんな私を見透かすように、似たような試練は立て続けに訪れた。

クラスメイトにちょっと不良の男の子がいた。

当時はまだ兆しがある程度だったが、誰もが中学生になる頃には絶対グレてるんだろうなと察しがつくような子だった。

その子が、私の隣の席になったのが運の尽きだった。

その子は何かと私の物を盗むのである！

しかもなぜか消しゴムばかり。

そして元から自分の物だったかのように使うのだ。

遠慮がちに「それ…私の…」と言うと、

「は？何言ってんの？

これ普通にオレのなんだけど」

と決まって返してくる。

心のノートにもその事を書いた。

しかし、私はまた孤独な気持ちになるのが嫌で、本音全ては書くことができなかった。

今思えばそれこそ我慢せずに、理不尽に対して怒り先生にもそれをぶつけたらよかったと思う。

直接対峙して戦うのが無理でも、それ位しても良いだろう。周りを巻き込む手だってある。

でも私は何も出来なかった。

その日もいつものように消しゴムを取られた。

兄からもらった（普段は何ももらえないがなぜかこれは気付いたら私の物になっていた）ノック式の消しゴムだ。

大人が使う物みたいで、結構気に入っていたのだが…

私も我慢の限界だった。

勇気を振り絞り尽くして彼に私は言った。

「それ私のだから、返して」

そして取り返そうと彼の筆箱に手を伸ばした。

でもダメだった。

私にしてはかなり頑張ったのだ。

私は強く立ち向かえない自分を嫌悪し、涙をこらえながら授業に戻った。

でも、その日はひとつだけ違うことがあった。

「おい！何すんだよ！」

不良の子が若干動揺しながら声を荒げた。

それを聞いて顔をあげると、いつも大人しくて目立たないたかしくんという男の子が私の机の前に立っていた。

「これ…」

そう言ってたかしくんは盗まれた消しゴムを私に差し出した。

横からふざけんなとか、返せよとか色々聞こえてきたが、私にはものすごく遠くに聞こえた。

お気に入りの消しゴムは、ノックしてみるとズタズタにされていて、砂利みたいにボロボロこぼれ落ちた。

その後もしばらくは、たかしくんも不良の子に悪態をつかれたり舌打ちされたりしていたけれど、じっ…とそれを無視していた。

激しく言い返したり、戦ったりしなくても、こうやって私の盗まれた物を取り返してその後のとばっちりまで対処して…本当にすごいと思った。

そして勇気付けられた。

消しゴムは全く使い物にならなくなったけど、それから私の宝物になった。

その事は心のノートには書かなかった。

自分一人で解決出来なかったから書きたくなかった、という気持ちもあったけれど、それ以上に本当に大切なものは自分だけのものにしておきたい、という思いが無意識にそうさせたのかもしれない。

我慢することしか知らず、心を表現するのが苦手だった私にとって、三年生の一年間は激しく揺さぶられた期間だった。

世界観ブログ12 消しゴム事件