どうもです✋

今日は漫画のお話をしようと思います。


今日もいっぱい新巻買ってきたんだけど、まずは新しく手を出した「チ。 ー地球の運動についてー」について!


※セリフ等々第3集までネタバレ有り








最初はアプリで2話まで読んだんだけど、1話目の扉絵見た時は「どういう状況かよく分からないけど痛い!!」っていうのと、最初の拷問シーンで「エグい!!!」って衝撃を受けました。

爪のやつなんか「68枚。」ってセリフ見た時の私の顔は確実におじさんと同じ顔をしてた←

その後も火炙りやら異端者に対する処遇の残酷さ、異端審問官の静かな恐ろしさが際立って、ホラー的な心臓のバクバク感がありました…。

でもその描写があるからこその感動なのかなとも思いました。


第1集で登場するラファウは賢く合理的で要領のいい人物だ。先を見据え、損得を考え、自身が平和に過ごせる道を選択する。そのためには楽しく学んでいた天文学を1度手放そうとするほどに。

それでも異端者であるフベルトの説「地動説」に魅せられて、知識欲を抑えきれず度々合理的ではない選択をしてしまう。

一見とても賢そうに見えるラファウだけれど、大学に行った後に専攻を変更できると知りながら卒業時に天文学を専攻することをわざわざ宣言してしまったり、異端研究に手をつける覚悟をしながら異端者であったフベルトの持ち物を露骨に身につけてしまったり、研究した書類を証拠隠滅しようと燃やすものの紙が自然消火しやすいものだと知らなかったり。

端々に世界に対して歯向かうような、曲げることの出来ない信念の一端や、幼いがゆえの稚拙な行動が見て取れるように思う。


でも私はそんな彼だからラファウのことが好きだ。


火炙りに処される異端者を見て恐怖し、街で出くわした異端審問官に脅え、告発され捕まり拷問器具を見せられ後悔をした。

地動説を証明することになんの意味もないと合理的な思考が訴えていた。

それでも小さな月明かりに再び魅せられて自殺も辞さなかったラファウ。

彼は最後に自身の止められない好奇心を認め、異端審問官にさえ一泡吹かせた。

自殺を選んだことだって、自身の保身よりも地動説の存続を願ってこその行動だったわけで。

彼の「感動は寿命の長さより大切なものだと思う」「僕の命にかえてでも、この感動を生き残らす」という発言が、どれだけラファウが合理的に星が動くという地動説に感銘を受けたのかが伝わってきた。


冒頭の拷問シーンから始まるように、この国に異端者は少なくなかったはずだ。

最初の火炙りのシーンですら一度に4人は燃やされている。

ラファウの義父ですら1度異端審問に引っかかっている。

1度目は改心すれば見逃され、2度目は死刑を免れないと知りながら、公開処刑を行い住民に異端者の扱いがどのようなものをしらしめながら尚、これだけの異端者が後を絶たない。

それはラファウの言うように、流行病のように増殖する知性で、それは時に命を掛けてしまえるほどの貫きたい美学であるわけで。

ノヴァクが感じる狂気を愛と呼ぶラファウのシーンは特に好きです。



第2集ではネガティブなオクジーがメインで進んでいく。彼はC教を信じていると口では言いながら、天国の存在を信じきれず怯えている。

天国が救済だと言われているにも関わらず、死にゆく人々の顔が恐怖と絶望に染まっているからだ。

さらに過去に教えられた「この世は汚れている」という教えに心を囚われてこの世に希望を見いだせずにいる。

そんな中火星観測をしていたグラスが自身の説が誤りだったとわかり絶望する姿を見て、処刑直前の異端者の考えに揺さぶられ、死の直前に希望を見出し自分に託すグラスを見て、彼は少しずつ変わった。

1度は託されたグラスの意志をバデー二に届けるも苦手な空を見なければ行けない状況になり、我に返る。

再び天国に望みをもち、期待する。

それでも、たった2人彼の人生で天国よりこの世を重視した人達の死に際の満足気な表情が忘れられない。

そしてバデー二によって説明された地動説と「この地球が天界のように高貴かもしれない」ということ。

そこで彼は空の美しさを取り戻す。


第2集は読んでて1番気になるのは、オクジー、第1集で出てきた拷問受けてる彼ではないよね……?

髪型一緒なような気がするし、今から気が気でないんだが…?

とりあえずそれを置いても、第2集も面白かった!

なんというかオクジーの考え方が変わることで空の見え方が変わる所が、天動説ではなく地動説が心理だった場合の星の軌道の変化、そしてそれを美しく感じることと似通ってる気がして良かった。

何よりオクジーの「たった2人だけが人生で天国よりこの世を重視した」「2人は満足気だった」っていう所に第1集のラファウとフベルトの最後も繋がって、個人的に第2集のイチオシポイントです。

オクジーが頑張って希望を見出そうとして、自身の火星の説が間違っていたと落涙するシーンは切なかったけれど、異端者の発言で、山で発見した箱のお陰で絶望が希望に転化したことが嬉しかった。

そしてチ。で1番好きなのはこのタイトルのだし方!!

静かなシーンなのに、1番インパクトを感じる所で見開きで大胆に出てくるのとても好きです。

地動説の話って分かってからタイトルのチ。のデザイン見た時の感動も凄い。



そして第3集では差別されているがゆえに優秀な頭脳を自身の実力として生かしきれず、それでも抑えきれない知識欲とこの世を自分で動かしたいという少女ヨレンタと、教授から受け継いだ説を完成させるべく研究に没頭するピャスト伯が現れる。


まずヨレンタに関しては彼女の境遇にも思うところこそ多々あれど、1番印象的なのはオクジーに「文字が読めるってどんな感じですか?」と聞かれた時の返答が好きだ。

私たちが日常的に使っていて、ぼんやりと文字が凄いことを理解してはいると思うけれど、「時間と場所を超越できる」「私たちの人生はどうしようもなくこの時代に閉じ込められている」「文字を読む時だけはかつていた偉人達が口を開いてくれる」「文字になった思考はこの世に残って、ずっと未来の誰かを動かすことだってある」このセリフの全てが愛しいです。

ワンピースのロビンの過去編でもロビンのお母さんが言ってたんですけどね、「歴史は人の財産あなた達がこれから生きる未来をきっと照らしてくれる」「過去から受け取った歴史は次の時代へ引き渡さなくちゃ消えていく。「オハラ」は歴史を暴きたいんじゃない過去の声を受け止めて守りたかっただけ。」ここのセリフもめちゃくちゃ好きなんです。

文字って過去のことを今に、今のことを未来に伝える力を持ってる。この考え方がほんとに好きで、そして未来にも過去にもいけないことを「時代に閉じ込められている」って表現するのめっちゃ素敵だと思いました。

そしてこれが冒頭のオクジーの「過去の人の思いをなかったことにしたくない」っていう思いに繋がってきて、そういうの、大好きだ!←


もう1人のピャコタ伯には正直心を締め付けられた…

大切な恩師の意志を継ぎ、恩師の説を証明したい気持ちと1度見てしまった金星が満ちた瞬間がそれを確かな思いにしてくれない…

真理を証明したいのに、人情に揺さぶられて認めたくないと頭が拒否してしまう…

でもそれって悪いことではなくて、教授の前から脈々と受け継がれてきた2000年かけての説が、根本から間違ってるかもなんて誰も認めたくないだろう。

しかもそれが自分が人生をかけて来たことであればなおのこと。

ピャコタ伯は自分だけではなく過去の人の思いも背負ってたからこそ、余計やりきれなかっただろう…

子供みたいに泣くところが切なかった。

真実は必ずしも人を幸せにしない。

けれど、2000年の研究が地動説に生かされるように、火星の説が間違っていた第2集のオクジーによって繋がれた地動説のように、第1集のセリフであった「不正解は無意味ではない」。

ここに戻ってくるのがロマンだなぁと思いました。


フベルトだってラファウだって完璧ではなかった。

2000年かけても天動説を真理だと証明できなかった。

それでも今度はもうひとつの説、地動説へと繋がっていく所が、あまりにもロマン……。

ときめきを隠せません………。



もはや感想なのかあらすじ紹介なのか分からなくなったけど、久々に語った感。

続きが楽しみで仕方ないです。

裏表紙のセリフの載せ方にもとことん美しさに対するこだわりを感じて好き。

第4集も早く読みたいなー!!

ではでは今日はこれにて✋