第1話「始まり」
絵を描いた。
なんとなく、家にあった食器とか、家具とか目で確認できるもの全部
ただ描いた。そこにある物を。。
サンと呼ばれる少年は、なんだか息苦しい気持ちを抱いていた。
裕福ではないけれど、毎日当たり前のようにご飯を食べて、テレビを見て、、
その当たり前が、迫ってくる感じがして、時々不快な気持ちになった。
日々がジェットコースターみたいな早さで過ぎていくようだった。
だから、ゆっくり、ゆっくり時間をかけて、絵を描いた。
その時だけは、時間までスローモーションで過ぎてく感覚だった。
ある日、サンの沢山描いた絵を母親が見つけ、「あなたにこんな才能があったなんて」とサンを褒めた。
その日から、サンは友人や母親に、描いた絵を見せるようになった。。
返ってくる言葉は、全てサンを喜ばすものばかりだった。。
それからというもの、学校に行っても、家に帰っても、絵ばかり描いた。
時々、仮病を使って学校をサボってまで絵を描くこともあった。
母親も最初に褒めていたが、あまりに絵ばっかりの生活だから、心配になり、時々絵を描く事を注意した。サンはかえってその言葉に反発して、更に絵を描き続けた。
ある時、駅の改札を降り、家に帰っている途中で、人だかりを見た。なんだろうかと近づくと、そこに、ちっちゃなおじさんが絵を描いていた。。「似顔絵かきます1枚5$」とダンボールに書かれてあった。
描いてもらった人達は皆、とても喜んで帰って行った。ちっちゃいおじさんもずっと笑顔だった。。
「俺のほうが、上手だ、安っちぃ絵だ」そうつぶやくと、サンはなんだかとても苛立って、そそくさと家に帰った。
「ただいま」も言わず、家に帰ったサンは、「いただきます」も言わず、ご飯をたいらげ、母親と会話しないまま、「ごちそうさま」もなく、自分の部屋に戻った。
「僕の絵なら、10$でも売切れる」と、まだ苛々した自分を感じながら、紙とマジックを用意して、画用紙に大きな字で、
「似顔絵描きます!1枚10$」と書いた。
大きく深呼吸したサンは、一瞬で頭の中の霧が晴れたように感じた。。。。
絵を描いた。
なんとなく、家にあった食器とか、家具とか目で確認できるもの全部
ただ描いた。そこにある物を。。
サンと呼ばれる少年は、なんだか息苦しい気持ちを抱いていた。
裕福ではないけれど、毎日当たり前のようにご飯を食べて、テレビを見て、、
その当たり前が、迫ってくる感じがして、時々不快な気持ちになった。
日々がジェットコースターみたいな早さで過ぎていくようだった。
だから、ゆっくり、ゆっくり時間をかけて、絵を描いた。
その時だけは、時間までスローモーションで過ぎてく感覚だった。
ある日、サンの沢山描いた絵を母親が見つけ、「あなたにこんな才能があったなんて」とサンを褒めた。
その日から、サンは友人や母親に、描いた絵を見せるようになった。。
返ってくる言葉は、全てサンを喜ばすものばかりだった。。
それからというもの、学校に行っても、家に帰っても、絵ばかり描いた。
時々、仮病を使って学校をサボってまで絵を描くこともあった。
母親も最初に褒めていたが、あまりに絵ばっかりの生活だから、心配になり、時々絵を描く事を注意した。サンはかえってその言葉に反発して、更に絵を描き続けた。
ある時、駅の改札を降り、家に帰っている途中で、人だかりを見た。なんだろうかと近づくと、そこに、ちっちゃなおじさんが絵を描いていた。。「似顔絵かきます1枚5$」とダンボールに書かれてあった。
描いてもらった人達は皆、とても喜んで帰って行った。ちっちゃいおじさんもずっと笑顔だった。。
「俺のほうが、上手だ、安っちぃ絵だ」そうつぶやくと、サンはなんだかとても苛立って、そそくさと家に帰った。
「ただいま」も言わず、家に帰ったサンは、「いただきます」も言わず、ご飯をたいらげ、母親と会話しないまま、「ごちそうさま」もなく、自分の部屋に戻った。
「僕の絵なら、10$でも売切れる」と、まだ苛々した自分を感じながら、紙とマジックを用意して、画用紙に大きな字で、
「似顔絵描きます!1枚10$」と書いた。
大きく深呼吸したサンは、一瞬で頭の中の霧が晴れたように感じた。。。。