お悩み相談室のmy Pick
僕はスラムダンク世代だ。
毎週、ジャンプをドキドキしながら読んでいたものだ。
桜木花道は主人公にも関わらず、バンバン得点をあげているわけではないんです。
練習試合・公式試合を含めると、作中の合計試合数は11。
そのうち、桜木の得点は全て足しても37得点です。
春からバスケを始めて、夏の全国大会までにこの得点数と考えると、やっぱり才能あるじゃん!
という結論にもなりそうですが(笑)
やはりリバウンドほどのインパクトはありません。
しかも、作品名でもある「ダンクシュート」は
公式戦でわずか3回にとどまります。
桜木は湘北高校バスケ部に入部して以降
キャプテンの赤木剛憲の指導で、基礎練習を開始。
どんなにハードな練習後もそれだけは必ず行ってきました。
そして夏休みには、監督の安西先生と悪友
そして憧れの赤木晴子と一緒に
1週間でシュート2万本という冗談のような特訓も行いました。
ときに地道に、ときに短期集中で
猛練習を重ねた桜木でしたが、その努力をもってしても
彼が妄想した派手な活躍はできませんでした。
実際に彼は、全国大会を決める陵南高校との一戦で
いやというほど自分の経験不足を突きつけられ
屈辱感に襲われています。
そこには一朝一夕では身につけることのできない
競技力の厳しさを垣間見ることができます。
では彼の努力はムダだったのか、決してそうではありません。
全国大会1回戦の豊玉高校戦ではわずか4得点でしたが
彼の得点がなければ
チームは接戦を制することができませんでした。
そして2回戦、伝説の名試合ともいえる
山王工業との試合ではチームの主軸として14得点をマーク。
試合中の負傷による痛みに耐えながら
試合終了直前に流川からのパスを受け取って放った
ジャンプシュートは、劇的な「ブザービーター」(試合終了などのブザーが鳴ると同時に放たれて、決まったシュート)
となりました。
努力が必ずしも、自分の理想通りの結果をもたらすとは
限らない。
それでも、積み重ねた力が、積み重ねた努力が
「奇跡」と呼べる結果を呼び込むことがある。
作中で桜木花道の歩んだ濃密な道のりは
そんな雄弁なメッセージとともに、僕たちを励ましてくれているのです。
今はコロナウイルスという脅威と戦っている僕たち。
外出自粛や、様々な面での努力は決して無駄じゃない。
そんな事を教えてくれる、そんな作品のように思えます。
ステイホーム中、時間があれば
もう一度、読んでみる価値のある作品だと思います。
「あきらめたら、そこで試合終了ですよ。」