お悩み相談室のmy Pick
前妻を自死でなくして、住む家も、全財産も家族も
全てを失い、生きる意味も死ぬ意味もわからないまま
街をさまよっていたら、ホームレスの支援団体と名乗る
大人二人に声をかけられた。
同じ場所に3日も野宿していればホームレスと判断されたんだろう。
それから、名前を聞かれ、写真を撮られ、こっちの意思も
関係なく、ホームレス登録された。
ホームレスの支援施設は入所が満員で支援できないと言われ
「じゃあ、なんで登録なんかしたんだよ・・・」
全てを失った僕に追い打ちをかけるように
善意という悪意に傷つけられた気がした。
何とか、そのホームレス登録から名前を消してもらいたくて
知人に仕事を紹介してもらい、他県で働くことになった。
ホームレス登録から抹消されてから10年の月日が流れた。
僕はこの10年で何十年もの時間が流れたかのような
多くの出会いや別れを体験した。
夜の店を経営していたときに多くのお客さんの話を聞く中で
様々な悩み相談を受けた。
人の悩みは大抵、男女間を含む、人間関係の悩みか、金の悩みだった。
狭い街の小さな店だったが、そんな店にもくるお客さんは
たくさんいて、こんなにも狭い街にこんなにも多くの悩みを
抱えている人がいるのか、と毎日感じていた。
そして、僕自身、うつ病を患っていて精神科に通院しているが
病院を探すときに検索をかけた時、すごい数の精神病院が
こんなに地方の小さな街にある事に驚き
実際、電話をかけると新規の患者は2ヶ月待ちという病院が
ほとんどで、すぐに診てもらえるという病院に行くと
すごい数の患者が診察を待っていた。
7時間待ちという病院もあり、診察自体は5分という病院も
あった。
やっと、いい病院に巡り合えて熱心に患者である僕に話を聞いてくれ、無駄な薬を処方しない病院だ。
病院に通い、うつ病と付き合いながら一人で生きて行くのは
本当に辛かった。
妻が亡くなり、今、一緒にいてくれている妻と出会えるまで
一瞬でも生きた心地がしなかった。
そんな生活を何年も過ごしているうちに心のどこかが
ぶち壊れてしまったんだろうなぁ・・・
そのぶち壊れた心のパーツを再び見つける事ができた時
僕は、生き返り、この10年の遠回りも悪くなかったと
笑い飛ばせるようになるんじゃないかと思う。
そう、思うんだ。