今日もいつもの時間に目が覚める。
妻がコーヒーを入れてくれる。
出勤前のわずかな時間、妻の笑顔が見れる。
「いってっらっしゃい」
妻を見送る。
横では猫ちゃんが幸せそうに眠っている。
今、世間はコロナで大変な時期だ。
そしてまた、有名芸能人の不倫が
TVで報道されている。
その中で、僕は今日も朝から奇跡で溢れている。
うつ病を患って８年、前妻を亡くしてからだ。
罪悪感と、喪失感と正義感と・・・
答えなど出ないのに全部一人で抱え
ホームレス登録までされて、一人きりで
ずっと簡易宿泊所に居れば、心も歪む。
妻にも未来はあった。
僕が妻の苦しみを見過ごしたせいで
その未来は奪われた。
僕だけが人生を楽しむわけにはいかない
そう思っていた。
時々、妻が夢に出て「外へ出ろ」と言った。
でも、無理だった。
外に出ようとすると、胸がズキズキと痛んだ。
未来を想像すると、外の眩しさが苦しかった。
でも、そんな僕を助けてくれた、今の幸せを
くれた妻のおかげで、今ある命を慈しむことと
1日1日が奇跡なのだと知った。
妻の笑顔、そして人の優しさに触れるたびに
僕は思う。
僕が一番欲しかったものは、大切な人の笑顔
なのだということを・・・
妻と出会い、僕は変わった。
人に優しくあろうと思えるようになった。
理解者となり、乗り越えるというのは決して
変わることではなく、今いる位置を認めて
愛しいと思えるように背中を押すことを
妻との時間が教えてくれた。
うつ病の治療は一人の力では難しい。
周りの人の理解や、協力が必要だと思う。
僕は、出会いに恵まれた。
以前のように酷いうつの発作が出ることも
随分と減った。
今、自分の身の周りで起きていることが
奇跡なのだと感じれることがどれだけ
素晴らしいことだと、気づかされる毎日だ
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