僕の友人に12年もの歳月を
共に過ごしたカップルがいた。
僕は当然、二人は結婚するものだと
思っていたし、周りの友人も
そう思っていた。
しかし、その二人が先日
別れた、との報せを聞いた。
理由は、コロナによる収入が減ったことだ。
その二人は、春の強い風も
夏の暑さも、秋の寂しさも冬の寒さも
ずっと乗り越えてきた。
「こんな恋人関係がいいなぁ。」
と、昔はみんな羨ましがったものだった。
別れの時に彼女が彼に告げた言葉は
「今までありがとう、最後くらい笑って別れよう」
というものだった。
お金は生きていく上で必要なものだ。
世の中、お金、お金で溢れてる。
でも、それより大切なものがある
僕はそう信じたかった。
12年もの間、赤い糸を紡ぎ続けた
恋人を引き裂いた、コロナという
ウイルスを心底恨んだ。