バスケ部に在籍しました。
世界で１番尊敬する先輩がいました。
バスケは本当に下手で、
一度も試合に出させて貰った事がありませんでした。
それでも毎朝毎晩ずーっと練習してて、
いつもバッシュは練習でボロボロでした。
僕は先輩にある日
『なんでそんなに頑張れるんですか？』と聞きました。
先輩は、
『頑張らんと試合出られんやろ？』と答えて
また黙々と練習を始めました。
僕は先輩の努力に憧れ、それからずっと
練習に付き合いました。
一緒に練習するうちに、
だんだん可愛がってもらえるようになって、
話もよくするようになりました。
ある日先輩は
『俺なぁ…いつか、試合でコートに立つのが夢なんよ。ショボイ夢やろ？』
と言いました。
僕はなんにも言えませんでした。
でも結局、最後の練習試合
（先輩はベンチ入り出来なかったので
練習試合が引退試合になりました）まで、
出番はありませんでした。
試合後半なんと先輩が起用されました。
先輩はすごい真剣な顔でコートに立ってました。
緊張で構えは不格好でしたが、
僕は絶対活躍できると信じました。
結果は、無得点での交代でした。
先輩は、全力でコートを走りましたが、
相手に得点を許してしまいました。
先輩の通算成績は、１シュート０得点。
でも、誰よりも価値のある１シュート
だったと僕は思いました。
結局その年、
全国大会には惜しくも届きませんでした。
先輩は引退する時、俺に泣きながら
『努力は絶対報われるからな。頑張れよ』
と言ってくれました。
僕は必死に頑張りました。
先輩に負けないぐらい練習しました。
そして、レギュラーになれました。
社会人リーグのチームからも誘いがあり、
それからもバスケが続けられるようになりました。
全部先輩のおかげです。
こんなに頑張れたのも、レギュラーになれたのも
全部先輩の言葉のおかげでした。
でも、先輩は6年前、
電車事故で亡くなってしまいました。
仕事帰りだったそうです。
きっと仕事でも、
フラフラになるまで頑張ってたんだと思います。
結局、僕は先輩に言葉で
『ありがとうございました』
としか言えませんでした。
今になって思います。
神様、
なんで先輩みたいな人は
報われなかったんですか？
才能だけで生きてる人も居るのに…
なんで先輩は
死ななければならなかったのですか？
おかしいじゃないですか…。