妻の死後から去年まで地方で小さなバーを
経営してきた。
自分の社会復帰のためでもあるし
他人との接触に慣れるためのリハビリになればと
始めたお店だった。
7年の経営の中で、様々なお客さんと出会い
それぞれの人間模様を見てきた。
人はそれぞれ、何かしらの闇を抱えている。
それを表に出す人と頑なに隠そうとする人
色んな闇を抱えている人が集まる、それが夜の街、
夜の店なんだと思った。
これまで、風俗での勤務期間が長かった。
僕には、基本的に家というものが無かった。
だから、大半の風俗店には従業員用の寮がある。
初めは、ただそれだけの理由で僕は夜の街へと
足を踏み入れたのだけれど
お店を経営していく中で、理解したことがある。
夜の街はネオンが光る、一見華やかな場所だ。
でも、いくら僕たちが彼女たちに光を注いでも
決して、芯には届かない。
それは男と女の決定的な違い。
抱えている闇の深さが違う。
それでも、人は夜の街に足を運ぶ。
ただ、一瞬の光を求めて。
今、コロナウイルスの感染者のほとんどが
夜の街だと、言われているがそれは
人間の根本に「光に照らされていたい」
という欲望にも似た、感情があるからだ。
ウイルスの感染よりも自分の闇に向き合うことが
恐ろしいからなんじゃないのかと、思う