以前、うつ病で精神科に入院した時のこと
大半の精神科の入院患者というのは午後8時に
睡眠薬を投薬されて、午後9時に消灯、睡眠に入る
僕は、消灯時間を過ぎても眠る事が出来なかったため
ナースステーションで男性看護師に色々と
話を聞いてもらっていた
精神科には様々な心の病で入院している患者で溢れていたが
その中で一日中、病棟内をただ歩き回っているだけの
患者さんがいた。会話は成立せず、食事、睡眠の
時以外は、ただひたすらに病棟内をふらふらと
歩き回っているのだ。
「あの人は何ていう病名なんですか?」
という僕の問いに看護師さんは
「あの人は、元々、お医者さんだったんだ。
患者を救えない、というストレスで心が壊れてしまったんだよ。」
という返答だった。
その後、その心のスイッチは誰もが持っているモノなんだ
と教えられた。
そのスイッチを押すか、押さないかで人の心は
簡単に壊れるんだと・・・
医師だった時の習慣で病棟内を歩いて回っているのだと
理解した。
本当に強い人間はほんの一握りだ。
一人で生きていける人間などいないんじゃないかなと
大切なことを教えられた入院生活だった