7年前の冬の朝

 

僕は妻を自死で亡くした。

 

家族も、家も無くなり

 

当時、将来のために貯めていた貯金も妻の母に没有された

 

困り果てて役所に相談しにいくと簡易宿泊所を

 

紹介してもらい、1日千円の生活費が支給された

 

簡易宿泊所の宿泊費はなんと三百円、残りの700円が

 

食費という訳だ。

 

宿泊所には風呂はなくトイレも共同

 

一番、驚いたのはガスの自動販売機というものがあった

 

10円玉を入れると8分間ガスコンロが使えるという

 

それまで見たこともないものがあった。

 

8分間ではヤカンのお湯も沸かない

 

12月の寒い時期にそのぬるま湯で体を拭く

 

それが入浴だった。

 

部屋の広さは1畳。カプセルホテルより狭い

 

そこで1ヶ月過ごした。

 

部屋には窓がない、その宿泊所まで流れ着くものは

 

自殺する人が多かったらしく窓が塞がれていた。

 

「こんなところにいたら、気が狂う」

 

流石に1ヶ月が限界だった