僕が、浮気や裏切りを毛嫌いしているのには理由がある。
まだ、若かった頃の僕はどちらかといえば
他人の気持ちを理解しようともしない
ロクでもない人間だったと思う
自分勝手な行動が、「最悪の事態を招く」
ということを知らなかったからだ。
25歳の冬、母を自死で亡くした。
僕は施設で育ち、養子としてもらわれた。
母は僕をことを本当の自分の子として愛してくれたし
反抗期もあったけれど、そんな僕をいつでも
「お帰りなさい」「行ってらっしゃい」と
学校へ送り出してくれていた
その愛情がどれだけ有難いものだったか
母が亡くなってすぐに気がついた。
母は行方不明になって2日後に見つかった。
異変に気がついたのは姉だった
「家の中に書き置きがある」と連絡があった
その書き置きの最後に僕のことをお願いしますと
書かれていた。
その書き置きを見て僕は一つの大きな愛情を無くしてしまったと、気が付いた
母は生前、いつも僕に「自由に生きなさい、あなたらしく」
といってくれていた。
その意味が当時はよく理解できなかった。
自分らしく生きるとはどういうことなのか分からなかった。
その答えは大人になってようやく気が付いた
僕は、仲間を大切にしない人間が許せなかった
それは多分、施設で育った影響もあったと思う。
施設の仲間はみんな兄弟だ。
兄や姉は僕を守ってくれたし
妹や弟が虐められるとみんなで仕返しに行った。
僕を里子に迎えたのは「この施設で一番元気な男の子」
という条件だったと母は教えてくれた。
僕らしく生きるということは周りの人を大切にしろ
という意味だったのだと今は思う。
母を亡くしてしまった日のことは今、思い出しても悲しい
しかし、母から貰った、愛は今でも僕の中で息づいている
ただ、自死を選択するまで苦しんでいた母に
気づかなかった自分が今でも許せない
そのせいで、その後、妻も自死で亡くしてしまうことに
なることも気づかなかった僕を