桜の花が咲いた
この街でも同じ色で
7年前の冬の朝
その年最初の雪が降る前
私は妻を亡くした
それから毎年、冬になる度
私は体調を崩す。
その時発症したうつ病の症状が酷く悪化する
そして冬が終わり、春が来るにつれ
少しずつ体調が戻る
それをもう7年、繰り返している
今年はこれまでより暖かくなるのが早く
これまでより早く桜が見れた
妻が好きだった桜の木の下で
私は妻が遺した日記帳を開いた
そこには、私と過ごした時間
日々の悩み
その日起こったささやかな幸せな出来事
彼女の日常が書かれていた
私と籍を入れた日の日記を見たそこには、
健やかなるときも
病めるときも
富めるときも
貧しいときも
妻として愛し、敬い、いつくしむことを誓いますか?
そう書かれていた
日記はそのページで終わっていた。
それから、最後のページを開いた時だった
「誓います。」
その文字を見て
私は涙が止まらなかった
叫びに近い嗚咽が漏れた
まるで魂を吐き出す等に・・・