「黄昏の百合の骨」 恩田陸 2008-108 | 流石奇屋~書評の間

「黄昏の百合の骨」 恩田陸 2008-108

恩田陸氏「黄昏の百合の骨」読了しました。

amazonリンク
黄昏の百合の骨 (Mephisto Club)/恩田 陸
¥1,785
Amazon.co.jp
出版元
講談社
初版刊行年月
2004/03
著者/編者
恩田陸
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
「自分が死んでも、水野理瀬が半年以上ここに住まない限り家は処分してはならない」亡き祖母の奇妙な遺言に従い、「魔女の館」と噂される洋館に、理瀬は、やってきた………。<<Amazonより抜粋>>


麦の海 」の正統な続編である本書。
あの小説の雰囲気は残しつつ、まったく違う話が展開していきます。

前回が(小説世界上の)釧路だった場所は、(小説世界上の)九州の長崎に移ります。
あえて、括弧書きにしているのは、これが正しい意味で小説世界上であるという点。

読んでいるうちに、今ここにある場所ではないという雰囲気が伝わってきます。
これが前作の雰囲気だったのですが、本作も同様でした。

意外にこういったところが、どうにもこのシリーズの心地よさだったりもするんだろうなと思います。

物語は、起きてしまった事件(事故)の謎に加えて、登場人物自体が醸し出す謎が加わり、順番に整理しながら読み進めていくような方には、混乱をきたす可能性があります。

雰囲気を楽しめる方にとっては、その後者の「開示されない謎」に魅力を感じることでしょう。

いくつかの事件が発生し、なんとなくその犯人も読み進めていくと判るのですが、やっぱりこの物語(群)の良さは、物語世界が醸し出す雰囲気なのかと思います。

なんというか、古い本の匂いがします。
懐かしい匂いなのかもしれませんが、そんな原体験はありません。

次作の予定もあるようですね。
楽しみです。