「塩の街」 有川浩 2008-033 | 流石奇屋~書評の間

「塩の街」 有川浩 2008-033

有川浩氏「塩の街」読了しました。

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塩の街―wish on my precious (電撃文庫)/有川 浩
¥578
Amazon.co.jp
出版元
メディアワークス
初版刊行年月
2004/02
著者/編者
有川浩
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:2点

あらすじ
塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女。男の名は秋庭、少女の名は真奈。静かに暮らす二人の前を、さまざまな人々が行き過ぎる。あるときは穏やかに、あるときは烈しく、あるときは浅ましく。それを見送りながら、二人の中で何かが変わり始めていた……。<<Amazonより抜粋>>


図書館シリーズが、盛り上がっております「有川浩」氏のデビュー作でございます。

文庫を借りちゃったのですが、実は、「本編大幅改稿、番外編短編四篇を加えた大ボリュームでハードカバー単行本(Amazonより)」として再販されていたようでして、そちらを借りていればと今更ながら後悔しております。

で、その文庫本だっただけに「装丁」が2点という結末。さすがにこの文庫はカバーが必要でした。
ついでに言ってしまうと、挿絵もいらなかったですね~(すみません)。

ということで内容。

もともと、この物語と「空の中 」と「海の底 」は、自衛隊シリーズということのようでして、その後の「図書館シリーズ」に繋がる「戦うものの格好良さ」みたいなものは全面に現れております。

有川作品の共通項って奴ですね。

で、ストーリーそのものは「あらすじ」の通りでして、前半は主人公格の秋庭と真奈と偶然知り合うこととなる人々との悲哀な物語、中盤には、この「塩害となった経緯」が真奈目線で語られ、後半はひとつの大きな物語が描かれています。

この構成は良いなと思いました。
中盤まで思わせぶりに「経緯」を知らされず、いざ「経緯」を知った後には、その「状況」をどのように打破していくかがメインストリームとして鎮座している。

ぐっと世界観にひきつけながら、きっちり終わらせているという印象です。
そんなこんなで、やっぱり番外編とか読みたくなっちゃうんですよね。

ただ、有川作品の特徴でもある「第3者目線がコロコロ変わります」地文は、ちょっと気になりました。
本作は登場人物もそれほど多くなかったはずですが、やっぱり気になりますね。

ということは、これを読むと「図書館シリーズ」がそれなりにスムーズに読めるよな~とか思っちゃいました。