「ハッピーエンドにさよならを」 歌野晶午 2007-130 | 流石奇屋~書評の間

「ハッピーエンドにさよならを」 歌野晶午 2007-130

歌野晶午氏「ハッピーエンドにさよならを」読了しました。

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歌野 晶午
ハッピーエンドにさよならを
出版元
角川書店
初版刊行年月
2007/08
著者/編者
歌野晶午
総評
19点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:2点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
望みどおりの結末になることなんて、現実ではめったにないと思いませんか?小説の企みに満ちた、アンチ・ハッピーエンド・ストーリー。前人未到のミステリ四冠を達成した偉才が仕掛ける未曾有の殺意。<<紀伊国屋Bookweb>>


11の短編が所収されています。
一つ一つの長さはまちまちで、中には極めてショートな作品もあります。(「天国の兄に一筆啓上」)

タイトルのとおり、所収されている作品の共通点は「ハッピーエンドではない」という点。

ただ、「ハッピーエンド」の対義語として「バットエンド」があるとして、では、本作に所収されてるすべての作品が「バットエンド」なのかというとそういうわけではありません。
作品としては、「物語が収束する前に突然終わる」といった趣もあったりします。
ですので、細かく言うと、「バットエンドな作品」「エンドしない作品」があるということですね。

ま、どっちにせよ「ハッピーエンド」ではないのは確かなので、間違った表現ではありません。

11の短編の中で興味深かったのは「サクラチル」と「尊厳、死」でした。
どちらも初出が「小説すばる」であることもあり、ストーリーがしっかりしております。
また、歌野氏の「葉桜~」に近いトリックがあることも評価が高かった点だと自己分析します。

どっちにしろ、読み手の心身が、ともに健康であることが大前提の作品です。
読書することで、救われようなどと思っていると、つらくなりますので、ご注意ください。