生野慈朗監督。
東野圭吾原作。
小田和正(言葉にできない)音楽。
山田孝之、玉山鉄二、沢尻エリカ、吹石一恵、尾上寛之、田中要次、鷲尾真知子、高田敏江、吹越満、風間杜夫、杉浦直樹出演。
『兄貴、元気ですか?
これが最後の手紙です。』
工場で働く20歳の武島直貴(山田孝之)。職場の人間ともまるで打ち解けず、人目を避けるように暮らしていた。それというのも唯一の家族である兄・剛志(玉山鉄二)が、愛する弟のことを思うがままに、直貴の大学進学のための学費欲しさに、盗みに入った家で誤って老婆を殺してしまい、兄が刑務所に入っているからだった・・・。
兄が罪を犯したのは、自分のせいだ。そう自責する直貴は、せめてもの償いにと服役中の兄から届く手紙に丁寧な返事を書き続けていた。
そんなある日、更生した元服役囚と出会った直貴は、一度はあきらめたお笑い芸人の夢に再び挑戦しようと決意する。しかし、どこへ行っても“人殺しの弟”とゆうレッテルを張られる日々が続く・・・。直貴は次第に、兄への返事の手紙を書かなくなっていってしまう・・・兄にとっては唯一の“弟”とのつながりであったものが。。。
しかし、そんな直貴の環境でも、支えとなってくれる女性がいた。同じ職場の食堂で働く由美子(沢尻エリカ)である。最初はうっとおしく構っていた直貴だったのが、何かを背負っている、そんな直貴に近づく、そんな由美子も実は・・・・。
レイトショーで観てきました久々の一人での映画、よかった。てゆうか、そんなんじゃない・・・この映画を観て、いや出会えてよかった
手紙の原作者である、東野ファンであるはずなのに、これは読んでなかったってゆうことだけが心残りでした。。
そんで今日が『手紙』の近くのシネコン最後のレイトショーの日だったんです。それもあったせいか、お客さんかなり多かった
んでやっぱり女性が多かったかな?これは一人で観に行っても正解だったなって僕は思ってます
これは単なる感動作じゃない・・・こっちが考えさせられ、そして考えなくてはならない作品だった。
もちろん感動もあっての映画だったと思うけど、ただ単に、泣けた~って言って済むようなことを扱った作品じゃないですよね。
罪を犯してしまった人だけが苦しむんじゃない。本人と繋がってる人、全員にふりかかってくるものなんだ。そして、それを忌み嫌う現代の人々・・・これからも逃げることは出来ない。でも、そこからまた立ち直っていくことは出来るじゃないか
『元々あった一本の糸を二本、三本と増やしていけばいいんだ。。。』
ここの、ケーズ電気社長(杉浦直樹)と、直貴とのやりとりの場面はよかった最初は僕直貴に100%に近いくらいで味方ってゆうか、直貴目線でこのシーン観てたから、『差別される僕が悪いってゆうんですか!!』ってゆう直貴の発言に普通に頷いてた。。。でも、社長の話を聞いているにつれて、理解するべき世界がどんどんと広がっていって、上のような言葉には心打たれましたね
ここで、初めて直貴が由美子が勝手に直貴に代わって手紙を送っていたことを知る。それに伴って、直貴は今までしてきたことを振り返る。そしてまた、由美子の過去をも知る。。逃げてばかりではいけないんだけど、常に降りかかってくる差別・・・自分は何もしていない“はず”なのに・・・。
そこで兄貴に4年ぶりとなる手紙を出すことにする。でも、それは兄との完全なる決別を意した手紙・・・。
4年ぶりに“本当の”弟からの手紙を手にした剛志。でも、そこに書かれていたものは・・・。
そして次の、一番この映画で“考えさせられる”シーン。被害者の息子と直貴との、事件後初めての話し合い。ここで初めて直貴は、自分宛てへだけでなく、遺族の方たちへも手紙を毎月欠かさず送ってたことを知る。そして、相手側から、実はこれが彼から私への最後の手紙なんです、と言われる直貴・・・。
そこに書いてあったことは、自分が兄貴宛てに書いた手紙を読み、考え、兄貴は自分がしてきたこと、つまりは遺族に手紙を送ることをもうやめるとのことだった。
『私から彼にもう手紙はいい、と言うつもりだったが、やめにしました。これは(手紙を書くことは)彼にとって般若心経だったんです。 もう、これで終わりにしましょう、全て。』
これを聞いた直貴は今まで耐えて耐えて、溜めてきたものを一気にあふれ出させる・・・ようやく何かから解かれたかのように。。。
原作者の東野さんも言う通り、ここが一番伝えたかったところみたいです。
人を殺してしまったことに終わりはあるのか・・・。
~加害者の剛志は反省している、それは疑う余地のない事実です。
犯した罪に、殺してしまった被害者に、そして被害者の家族に深く深く反省をしている。だけどそれはいつしか「反省する」という作業に埋没することとすりかわってしまった。救われるからと何も考えずに般若心経を書き連ねていることと何も変わらないことに、この人は気が付いていたのだと。だからこの人は彼がいつ気が付くのかと手紙が届くのを黙認していたのです。~(PICOTHEATREより←僕のブックマークのところから飛べます)
さすがにここまで理解できた人は何人いるんだろうかこの被害者の息子の、いわばある優しさ的なものに触れられたからこそ直貴のあの涙は見ることができたんじゃないかな??ここまで理解できるには、自分もまだまだやなぁ
なんかここは本当に“言葉にできない”考えが頭をグルグルと巡っていっていたところ
剛志のように、もちろん人を殺してしまったには違いないんだけど、本当のところは弟思いで優しい人間。盗みに入るときも、甘栗を直貴のために(ホントは死んだお母さんが好きなものだったんだよね!)持って行こうとするくらいの人(盗んで、もらうことはもちろんダメなことやけど)。今の社会では、そんな人間でも、どんな理由であれしてはならないことをしてしまったとなれば・・・。これは日本中の全員が当てはまることかもしれないよね。だからもちろん、これはみんなが考えなくてはならないこと加害者の側からも、そしてもちろん被害者の側からも・・・。
そして最後の、直貴が兄のいる千葉刑務所に漫才をしにいくところ
ここで直貴が必死に剛志のことを探すんだよね。でも、みんな坊主だから(笑?)裏からでは判断がつかないんだ・・・。
何年ぶりかの漫才。兄貴のための漫才。
カメラ、いや直貴の探す目が、右・・・左へと動く。。兄貴は???
そして、直貴の目が捉えた、その姿は・・・。
ここは今思い出しただけでマジで胸がいっぱいいっぱいですでもなんだか泣けなかったんだぁ・・・
周りを意識してたのもあるのかもだし、山田孝之の演技・玉山鉄二の演技に魅了されていたからなのかもしれないし。。。胸がいっぱいいっぱいなのに泣けないのはちょいと辛いもんがありやしたっ
笑
でも、やっぱりなんといってもここは素直に玉鉄の演技に見入るところかな。それにしてもあれがアドリブとは・・・・・見直しましたっ英会話のポスターの時とでは全く別人だねっ
ほとんど無言の演技、あるといえば手紙を読むナレーターのところのみ。そんな役柄の中でも、最後の最後にあの演技をするって、やっぱりすごいですね。役者さんって凄いな~って改めて思ったところかな
あとは山田孝之の漫才。それまでにも何度も漫才のシーンが観れた。結構山田孝之の芸人ぶりもおもしろかったかなっでも、最後の漫才がやっぱり一番上手い。兄貴の姿を捉えてからのあの表情、そしてセリフ。。ボケていながらも、兄貴のことばかり・・・。ふぅ~~~~~イイ映画やっっ
笑
あと、沢尻エリカだけど、やっぱり関西弁は僕ら地元人には違和感大やったけども(笑)、今回のナニワの沢尻エリカは可愛かったいつもはどっちかってゆったら、普通に嫌いな女優に入ってたと思うんやけどね~。こんなにもカラッとあっさり印象が変わってしまうなんて、やっぱり女優さんって凄いね~
笑 バーでの由美子、結構普通に可愛いってゆうか美人だったし!まぁ、あのメガネから一転ってゆう、いきなりのギャップもあったからやけど
他は特にゆうことないかな~??吹石一恵との絡みの場面のほとんどは、かなり微妙やったし。。それに今の日本の今回の場合のような時の実際の差別がどれくらいとか、どんなのかとか、僕は分からないんだけど、あのお父さんの言ってることは、“映画やから”ちょっと誇張表現しすぎちゃうかな?って思った。でも、実際現実に、今体験してる(差別なりされてる)人たちはあれくらいのことを毎日感じて暮らしてるんかもしれないんだよね。。。でも、あの刑務所の近くで直貴と由美子の子供が避けられたのはなんで??あれって家の近所じゃないんじゃないの??刑務所の近くの公園でしょ??そんなら由美子の子供がそんな繋がり持ってるなんて知らないんじゃ・・・そこだけ疑問だった!まぁ、話の流れでは希望の光が差す、必要なシーンだったんだけどね
ちょっと今回もあらすじは飛び飛びやったけど、これはこの『手紙』自体を観てから、人の感想を見るもんやと僕は思います。じゃなくても大好きであり、最も尊敬している作家東野さんみたいな文章を書けるはずがない・・・笑
んで、多分僕これDVD買うかも!?ですね買うとしたら、映画DVD初買い作品ですわん
単純に最後まで泣けなくて、なんか胸にしまい続けるのが苦しいかもってのもあるし、それが悔しいのもあるし(笑)、もう一度、最初から振り返りたい作品でございましたっっ
最後の終わり方も、どこか希望を持たせてくれる感じでよかったし
ただ思ったんだけど、山田孝之の歩き方ってなんか変じゃないですか??笑
やっぱり、無言の玉鉄はかっこよかったでっせ~
http://www.youtube.com/watch?v=z9x9DcOluYw
【↑手紙の宣伝。これみただけで、めちゃ思い出すねん笑】
☆評価☆・・・4.6