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ニキ・カーロ監督。
シャーリーズ・セロン、フランシス・マクドーマンド、ショーン・ビーン、リチャード・ジェンキンス、ジェレミー・レナー、ミシェル・モナハン、シシー・スペイセク、ラスティ・シュウィマー出演。
えーっとこの作品は、確か『モンスター』でシャーリーズ・セロンについて触れたときに、cat tailさんが教えてくれた作品ですいや、cat tailさんが薦めるだけあって、かなり見応えがあり、自分に跳ね返ってくるものが多い作品でした。cat tailさんありがとう
で、もちろん主人公はシャーリーズ・セロンなわけですが、やはりこの人は“生まれ持った美貌”だけじゃなく、“演技の上手さ”でやっていける女優さんだと、再認識しました。『コール』、『モンスター』、『ミニミニ大作戦』、『トリコロールに燃えて』、そして最近ではあの『イーオン・フラックス』。もちろんかなりの美人さんですけど、アクションものもだし、ホントどんな役でもこなす人ですね。
ショーン・ビーンは『アイランド』で知った俳優さんですね。今回は頑固だけど病気を持った妻を持つ夫の役。イメージがガラリと変わりました
ミシェル・モナハンは意外に!?いろんな作品に出てるんですね~。『ボーン・スプレマシー』、『Mr.&Mrs.スミス』、ややこしいで有名な『シリアナ』笑、『キスキス,バンバン』、『M:I:Ⅲ』などなど・・・。本作でも結構いい雰囲気出してましたっ
そしてなんといっても、この作品の監督、ニキ・カーロ。彼女はこれから注目していきたい監督さんですね。充分女優でもやっていけそうな感じの人ながら、この人ホント凄い!!メイキングのこの人の『スタンドアップ』について語る想いを見て、尊敬しました。メイキングは絶対見るべきですよね
時は1936年。仕事にしろ、普段の生活にしろ、男性が女性の上に立っているような社会男が仕事に行き、女は炊事・洗濯をするのが当たり前の世界の話。女性が初めて男女平等を訴えた、この原題にもあるように『NORTH COUNTRY(北のまち)』で起きた、世界をかえるキッカケを作ったある女性の実話に基づいた、話である・・・。
夫の暴力に絶えかねた妻ジョージーは夫とは別れ、故郷の北ミネソタに帰ることを決心する。ジョ-ジーには長男と長女の二人の子供がいた。しかし、長男は実の夫の子供ではなかった。学生時代、教師にレイプされそのときにできた子供だった・・・
ジョージーの父親は近くの炭鉱で働く労働者だった。この辺りの男たちはだいたい皆、その炭鉱で働いていた。逆に言えば女性がその炭鉱で働いているのなんて、ほんの一握りの数であった。
ジョージーは、いつまでも実家で居座るのは・・と思い、子供二人を連れて違う家に暮らすことを決める。しかしそれならば、それなりのお金が必要になる彼女は、久しぶりに“炭鉱で働く女性の”旧友に会い、稼ぎたいのなら、と炭鉱での労働を勧められる。これがジョージーの戦いの始まりであり、今の社会の現実と、リアルに向き合うこととなるのであった・・・
ここから、裁判の様子と、ジョージーが体験した現実が交互に流されていって、最後に一つとなっていきます
後者のシーンはやはり現実にあったことに忠実なんだ、と実感しました。女性に渡される作業着はすべて汚く脂ぎったもの。至る所の壁には、ここでは書けないような女性に対する嫌がらせの文字。胸、おしりをさわるといったセクハラ行為なんてのは当たり前・・・まさに現代のような女性の、いや人間としてのプライバシーなんてない。炭鉱のシーンになると、なぜか僕はホラー映画をも超えるような“怖さ”を感じましたね。。
確かに、根底には“男が働くのが当たり前だ”とゆうのが、このときの男性たちの考えではあり、それを何人かの女性たちによって男性の働く場が削られる、そして働く男としてのポリシーがあるんだ、とかゆう思いがあったとは思います。しかし、そんなものはあったとしてもチッポケなこと。炭鉱での、すべてのシーンが怖かったです
それでも、中にはそんな差別行為に対して思わしくない考えを持つ男性もいたにはいた。でも、それとは対を成す大勢の力にしたら、そのような男の人たちの考え・力は押しつぶされていくだけだった。。。
この炭鉱での現実、それだけでなく炭鉱以外の、家庭環境・近所での彼女に対するイメージ、すべてがジョージーを追い詰めていく。。。アイスホッケーの試合の、帰りの駐車場でのシーンはさすがにきつかったですね。老若男女関係なく、非難の目で囲まれているジョージー。。彼女は本当に女性として、人間として強かったんでしょうねいや、本当は弱かったからこそ、頑張って“Stand up!”しようと思いたったのでしょうか・・・
メイキング映像でニキ・カーロ監督が、『このシーンは絶対に入れたかった』とゆっていた、母ジョージーと息子が初めて本当に向き合うシーンここはやばかった。。。
息子であるあなたを見ると、本当はあのレイプの光景が蘇ってくるの。。と告白するジョージー。でも、寝ているあなたの横顔を見ていたら、『この子は私の子であることは間違いない。いや、正真正銘の私の大事な息子。』と思えてきた。この二人が抱きしめあい、分かち合うシーン、一番好きなところかな
何百人もの男性労働者を相手にしてのジョージーのスピーチ。あそこも凄い迫力でした。監督、キャストの力が試されたシーンではないかと思いますここでも初めて父親が娘ジョージーと向き合い、正義を訴えるシーン。ここも鳥肌もの
そして、最後に裁判のシーンへとつながり、最後はみんながジョージーの方へと・・・。相手の被告側の弁護士が“女性”とゆうのもかなり考えさせられる要素でありましたね。女性差別を訴える女性を、女性弁護士が止めにかかる。。本当の現実を知らないものと知っているものとではこんなにも違ってくる。。。複雑な組み合わせでした
メイキングでの、監督や、実際の、この実話の炭鉱で働いていた女性たちの話は、絶対に聴くべきだと思います。『この映画や判決は、単なるキッカケに過ぎない。』北のまちで一人の女性が戦ったことで、少しずつ広がっていけば・・・。
この作品を観て、昔の仕事における男女差別の実態を知れたのはもちろんだけど、なんかそれ以上のことを考えさせられました今でも、確かにまだこのような男女の扱いの格差が残っていることとは別に、性別関係なくこうゆうことは、やはりあるにしろなくなってほしいこと。仕事場での上の者からの執拗な行為、いじめ、虐待・・・・色んなことに通ずることを扱った作品であることは間違いない
そう考えると、これはみんなに観てもらって、それぞれで自分のことを振り返ってみてほしい作品です
色んなことに対する“勇気”を与えてくれるはず
何事も、立ち上がってみれば、何か変わるかも知れません久しぶりに、イイ邦題だな~と感心しましたっ
でも、やっぱりなんといってもシャーリーズセロンはいいね~
笑
☆評価☆・・・4.5