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チルドレン・ウォー(子供戦争)の為のメモ2 超ネタバレ注意!

オチョワは難民キャンプに収容された。
ある晴れた昼下がり、オチョワは救援物資を包んでいた何枚かの汚れた紙とシスターから貰ったちびた鉛筆と小さい消しゴムと小さな鉛筆削りを持って、キャンプの外れに有る、木陰のテーブルに向かって、足を引きずりながら歩いていた。
テーブルに着いたオチョワは紙を拡げ、手首が無い左手で紙を押さえて、指が3本しかない右手で鉛筆を握り、何かを紙に書いていた。

一人の東洋人のカメラマンが、オチョワに気付いて近寄って来た。

「何を書いているの?」

カメラマンの問いにオチョワは顔を上げて笑顔で答えた。

「お話を書いているのよ。」
「どんなお話?」
「へへ~、まだ、内緒。」

オチョワは紙を隠して笑いながら答えた。

「君は何か欲しい物、あるかい?」
「白い紙と鉛筆を沢山欲しいわ。」
「…将来、君は何になりたいかい?」

オチョワは紙にお話を書きながら答えた。

「あたし、絶対に小説家になるの。」
「何故?」

オチョワが笑顔を上げて答えた。

「小説家になって、素敵なお話を沢山書いて、世界中の人に影響を与えるの。
そうすれば…」

オチョワがキャンプの中を見回した。
カメラマンもオチョワと共にキャンプを見回した。

「そうすれば…こんな事が起きなくなるかも知れないでしょ?」

「…そうか、…頑張ってね。
君の本を読める日が来るのを楽しみにするよ。」

カメラマンは持っていたシャープペンと書き込みがあるページを破りとった手帳をオチョワの前に置いた。

「君にプレゼント。」
「ありがとう!」

「握手してくれる?」

カメラマンはオチョワが差し出した三本指の右手を両手で優しく握りしめた。

更にカメラマンは胸ポケットからチョコレートを出してテーブルに置き、何枚かオチョワを写真に撮ると、オチョワに手を振りながら歩き去った。

オチョワとカメラマンのやりとりを見ていた5~6歳位の男の子がテーブルのチョコレートを引ったくり、走って行った。
チョコレート欲しさに他の子供達が男の子を追って行った。
オチョワは残った片方の目で子供達を見送り、笑顔で頭を振りながら、三本の指で鉛筆を握り、世界を変える為の執筆を再開した。








終わり


…俺はオチョワの足元にも及ばない…(涙)

チルドレン・ウォー(子供戦争)の為のメモ ネタバレ注意

連れ去られたンガリは洗脳され、民兵組織の兵士になる。
ンガリは最初の戦闘で傭兵隊軍曹を殺害して、一躍ヒーローになり、軍曹の死体から奪った黒いベレー帽はンガリのトレードマークになる。
病院と学校の複合施設襲撃の際の戦闘でンガリ達は傭兵隊の罠にかかり捕虜になる。
軍曹の親友だったある将校がンガリのベレー帽に気づき、ンガリは残酷な方法で処刑される。
ンガリが死んだ日はンガリの10歳の誕生日だった。

ンガリの集落が襲われた時にンガリを抱き締めてやった10歳の少女オチョワは、兵士に銃で殴られた際の傷が元で片目を失明する。
傭兵隊の討伐作戦でオチョワは助け出されるが、その時の戦闘に巻き込まれ、左手首から先と右手の薬指と小指を失う。
そして、民兵の度重なるレイプによって、片足を引きずって歩くようになってしまった。

結局、ンガリの集落で生き残ったのはオチョワ一人だった。

次の日記に続く

チルドレン・ウォー(子供戦争)9

軍曹によって喉を掻き切られた赤ん坊は、たっぷりお乳を飲んで満ち足りて眠る様な死に顔だった。

軍曹は震える手で、男女の服でナイフを拭い鞘に戻した。

軍曹は立ち上がり、青い青い空を見上げた。

軍曹は青い空を見上げたまま、草原の方に歩いて行き、食べ掛けのナッツバーを取り出すと空を見上げたまま、食べ始めた。

長距離偵察隊員達は、押し黙ったまま俯いてじっと足元を見つめていた。

やがて黒人の兵士が赤ん坊の亡骸に近より、そっと赤ん坊を抱き上げると死んだ女の腕に抱かせてやり、男の手と、指が何本か欠けた女の手を握り合わせてやった。

隊員達は黒人の兵士が執り行った細やかな儀式を見届けると、もそもそと胸ポケットから食べ掛けのナッツバーを取り出して食べたり、草原の方を向いて煙草を吸ったりした。
黒人兵士も手に付いた血を拭い、煙草に火を付けた。

青い青い空の下にひろがるのどかな草原地帯に、ハゲ鷹が互いに争いながら死体を貪り喰らう喧騒が響いた。

軍曹は回収した写真を見つめた。

7~8歳位の目がギョロリとした少年が無邪気な笑顔で、男女の死体の傍らで死んでいた犬の生前の姿と共に写真に収まっていた。

写真の少年はンガリであった。

軍曹は残りのナッツバーを飲み下し、リュックを下ろすと、回収した写真を先程の封筒に入れた。

草原にハイエナ達が現れた。

笑い声に似た声を発して互いに呼びあいながら、用心深く集落に近付いて来た。
十数頭のハイエナの内、一番大きな一頭が、軍曹の目の前で軍曹を注意深く見つめながら草原に倒れているンガリの兄弟の死体をくわえて仲間の方に引きずって行った。

他のハイエナが死体に殺到した。

ンガリの兄弟の死体は奇妙な踊りを踊る様に頭や手足を振り動かしながら、ハイエナ達にハラワタを引きずり出され、引き裂かれ、喰われていった。

軍曹はハイエナを撃ちたい衝動を抑えて隊員達の所に戻った。
軍曹が二言三言隊員達に指示を出すと、彼らは元の機敏で慎重な顔付きと動作を取り戻し、血に狂ったハイエナ達を警戒しながら、ンガリ達を連れ去った民兵組織の追跡を再開した。

長距離偵察隊員達が草原に消えた後、残された集落ではハゲ鷹とハイエナと蠅がおおっぴらに殺戮の後始末を始めた。

こうして、ンガリの住んでいた集落は、ンガリ達民兵組織に連れ去られた者以外、全てが死に絶えた。

民兵組織に襲われた集落が、また一つ消滅した。


続く