脳内THANK YOU SO MUCHツアー 第3部
⚠️毎度お馴染みですが、ネタバレには要注意です
⚠️特に今回は、埼玉公演でのみ披露された演出に言及している箇所があります
⚠️あと毎回のことで申し訳ないですが、写真なしで文章のみが延々と続きます
原坊の「風のタイムマシンにのって」が終わると、桑田さんがギターを持ち替えて座られました。
「ええ…ここで、我々も座ってしまいましたけれども。ここでアコースティックコーナーということで、サザンの47年前の最初のアルバム『熱い胸さわぎ』に収録されております『別れ話は最後に』という曲をお聞きください。」
M13. 別れ話は最後に
サザンのだいぶ初期の曲。実はあまり聴いたことがない曲でした。当然ライブでも初めての曲でしたから、改めて帰ったらまた聴き返そうなどと思ったのですが、落ち着いた雰囲気のメロディラインにいつの間にか心を掴まれていました。少し話は変わりますが、曲名が歌詞にそのまま登場する曲って実はレアだったり。思いつくものだと先ほど触れた「闘う戦士たちへ愛を込めて」や「真夏の果実」。Aメロの一発目で出てくるものだと「メリケン情緒は涙のカラー」や「古戦場で濡れん坊は昭和のHERO」。メジャー曲でも歌詞にそのまま入っているものってあまり多くはない。「夏をあきらめて」は歌詞では「あきらめの夏」になっているし、「はっぴいえんど」も「Happy End」に。なんなら「HOTEL PACIFIC」も「真夏のPACIFIC HOTEL」になっていたり。なので、歌詞がそのまま登場するのは結構限られているんですね。
14曲目は桑田さんが“故郷である埼玉”のことをここ数日考えていたら、曲ができてしまったとのことで、楽屋で作られた出来立てほやほやの最新曲を披露する流れに。「この歳であんなメロディ作れちゃうんだって思ったもんね、ね、誠ちゃん」と。それを受けてギターの斎藤誠さんは「もう!早くやりましょうよ」と。(私も青学で生活を共にしたかった…)。「ではお聴きください。『埼玉のPeople』」。
イントロで、客席では何かを察したようなクスクスとした笑いが。
M14. 『埼玉のPeople』(Imagine)
名曲「Imagine」のメロディに載せて、「海もない 空港もない」という埼玉を桑田節で揶揄った歌詞。埼玉県民はパッとしないとまで歌っています。客席は笑いに包まれます。コンプライアンスがエンタメを縛りつける世の中。公表したら大変なことになってしまいそうですが、それが許されるのが桑田さんでありサザンです(知らんけど)。全部の歌詞を覚えてはいませんが、まあこれでもかというくらい埼玉の痛いところを突きまくっていました。
「ライブでしか来ない」確かにそうかも。
「池袋でしか遊ばない」そりゃそうだ。
しかし「今日ここにいる幸せはスーパーアリーナさんのおかげです」とここも桑田節。ディスって終わりでないというところ。そして「『Imagine』っていう曲です 最初からわかってますよね?こんな曲は時間の無駄ですよね?でも言いたかった」と後半は歌っています。「深谷ネギ」や「味噌ポテト」も勧められましたが、今回は買えませんでした。今度行ったときはぜひ食べたい。「千葉なんて意識してない」「クレヨンしんちゃんしか見ない」「西武ライオンズが弱い」実際のところどうなんでしょうか。桑田さんのご当地企画はソロでもお馴染みとなっています。「OSAKA LADY BLUES~大阪・レディ・ブルース~」の各地の歌詞で変えたり。これで一つアルバムを作って欲しいくらいです。
2013年ツアーファイナルの宮城公演でも「青葉城恋唄」を楽屋で練習してきた、と披露なさいました。普通なら、それで開催地を励まして終わりですが桑田さんは違います。「もともと演る予定じゃなかったので、料金が割り増しになります」と。震災のこともありしんみりしてしまった会場を笑いが包む。
桑田さんのエンタメ精神。人生の道標(バイブル)です。
15曲目は桑田さんの曲紹介から始まりました。
M15. 夕陽に別れを告げて〜メリーゴーランド
アルバムKAMAKURAからは2曲目となりました。「遠く離れてHigh School」から始まる歌詞。背景の映像には夕陽の照らす情景。高校をテーマにしたこの曲は親の世代と私の世代ではまた感じ方も違う曲なのかもしれません。もしかすると親の世代の方々の中には、この曲で描かれる情景と同じ経験をしてきた方もいるのではないでしょうか。あの高校生の若い頃に恋に落ちた相手は今どこにいるのか居場所も知らない。そんな過去に思いを馳せる人もいると思います。一方で私はまた少し違う想いをこの曲に持ちます。
私が思い起こすのは2020年の無観客ライブでこの曲を聴いた頃、コロナ禍によって、高校に通うことができなかったあの初夏の頃です。まだ卒業こそしていませんでしたが、高校最後の年が未曾有の危機によって奪われてしまいました。「このまま高校生活は終わってしまうのか」そんな先が見えない不安に苛まれてながらあの曲を聴きました。「遠く離れてHigh School」という歌詞には、この曲の本来の意味とは異なる思いを抱かざるを得ませんでした。そしてコロナが少しおさまり、また登校ができるようになった後も制限のかかった生活は続きました。そんな思い出もコロナの波と共に過去へ。SNSで自分の「現在(いま)」をいつでも共有できる令和を生きる身として「恋人の居場所も今は知らない」「瞳の奥で泣く」という思いをする機会は少ないのかもしれません。
世代ごとに捉え方が変わるのも曲のまた良いところ。
ここでまたもやライブの風物詩、メンバー紹介の時間です。
桑田さんはメンバー紹介がライブで一番楽しい、力を入れているというようなことを仰っていた覚えがあります。確かに私が物心ついてから初めて見たライブである灼熱のマンピーの頃から回を追うごとに進化していっているような。桑田さんは「旅姿六人衆」を発表した頃からメンバーやサポートメンバー、さらにはライブを作ってくれるスタッフにもスポットライトを当ててこられた方です。今回も「この方がいなければ私の今はない、生活はありません」といったことを交えながら紹介していました。コーラスのほぼほぼ固定メンバーであるTigerさんのラップの歌詞はしっかり覚えておらず後悔…
ギターの斉藤誠さんが最後に「そして、桑田佳祐~」と紹介して桑田さんのギターソロが始まりますが、あまりに短く「俺の(パートだけ)短けぇな、おい」といつも調子です。
そして「またまた恐ろしい新曲のコーナーです」観客席から笑いが。「こちらサザンがデビュー前に作った曲でございまして、『悲しみはブギの彼方に』。」
M16. 悲しみはブギの彼方に
デビュー前の未発表曲「悲しみはブギの彼方に」。タイトルからして「熱い胸さわぎ」に入っていても違和感のない楽曲。個人的には最初に夜遊びで聴いたときから「悲しみはブギ ブギの彼方へ消えた」のメロディが頭に残っています。実はYouTubeで昔の「悲しみはブギの彼方に」の音源を見つけました。まさかメンバーの方々も約50年後にこのような形で発表となるなんて思ってなかったのでは。冒頭の「雨が降らないと 米食えない」では背景に雨が降るような映像が流れましたが、50年前のライブでは当然今のCG技術などもないわけで、ライブ演出の半世紀の変化も感じることのできる一曲です。突然「髪の手入れは リンスにシャンプー」。
曲が終わるとスライドするように17曲目「ミツコとカンジ」に移りました。
M17. ミツコとカンジ
夜遊びでも触れていましたが、アルバムでもこの2曲は連続で入っているとのこと。ここでふと思いつきました。もしかすると「夕陽に別れを告げて~メリーゴーランド」を入れたのはこれの伏線ではないかと。KAMAKURAではこの「夕陽に別れを告げて~メリーゴーランド」と「悲しみはメリーゴーランド」は離れてはいるものの間奏を介して繋がった作品のよう。そんなことを考えていましたが、気づけば背景映像に見入っていました。映像は「ミツコとカンジ」の人生を描いたアニメ作品。仲の良い二人が切ないすれ違いを遂げる一つの物語が描かれていました。個人的にはサビの「ちょいと振り返ってみれば」のメロディラインが好きで、「人生いろいろあるよな」といったあきらめもありつつ、でも歩いていこうと励まされるような。
途中には「闘いの大海原」のテレビの映像を見ながら泣いている男の姿。あれはアントニオ猪木さんご自身なんでしょうか。それとも「栄光の男」で描かれていた、立ち喰いそば屋のテレビでスターが引退る(さる)のを見届けて泣いていた“彼”でしょうか。桑田さんは猪木さんのことを本当に尊敬しているのでしょう。恥ずかしながら世代的に猪木さんの名前は知っていても、どのようなお方かは知らずにソロ作品「Soulコブラツイスト~魂の悶絶」を聴いていました。リリースから少し経ち、猪木さんがこの世を去りました。そのときニュースで見た「この道を行けばどうなることか…」の格言。
桑田さんも音楽の大海原でこの言葉に励まされてきたのでしょうか。
18曲目。スクリーンには司令室のような映像が流れ、ロケットが今にも飛び立とうかというジェット音が響いたそのときでした。桑田さん「ごめんなさいちょっとギターの方が壊れてしまって」。どうやら誠さんのギターにトラブルがあった模様。映像は消え、スタッフが慌ただしく動きました。「こういうこともあります、これがライブです」。円盤化されたら絶対に見れないワンシーン。めっちゃ貴重。仕切り直して準備も燃料も超満タン。手首のライトも光り始めました
「夢の宇宙旅行」へ出発です。
毎度毎度長くなってしまい申し訳ございません、思いついたままに書いているのでこうまとまりがなく色々読みにくいところもあるとは思いますが、お付き合いいただきありがとうございます🙇♂️
引き続き、THANK YOU SO MUCH!!