ライオンキング、アフリカの壮大な草原が舞台の、誰もが知るライオンの話だ。
最近「もう一つのライオンキング」として話題のムファサを主人公に据えた、新たな映画が公開された。
映画館で鑑賞してきたので、思ったことを書きたい。
元のライオンキングをあまり知らない(幼少期にみたことはあるかもだがあまり覚えていない)ので的外れなことをほざいていたら、お許しください。
僕がこの映画を見て抱いた感想をひとごとで言えば、「スカー、お前可哀想やなあ、、、」というものである。ただただ、スカーが可哀想。そんな映画であった。
ムファサは、境遇こそ悲運であるものの、血に恵まれ、ここぞという機会にも恵まれ(映画の演出上当然ではあるものの)成功を運命づけられたエリートである。現実世界で言えば、両親を早くに亡くしたものの、スポーツ万能、性格も良い東大生と言ったところでしょうか。
一方スカーは、お金持ちの家に生まれたものの、父親はクズ(のちに死亡)、母親は愛情深かったが、怠慢な父親のDNAを継ぎ、ここぞという場面で勇気を出せず、途中から自分より養子により愛情を注ぎ出す(のちに死亡)、好きになった人も兄弟に取られる、という散々な境遇である。
そりゃ性格も歪むわ。といったところだ。
どうしてもスカーに共感してしまう。だってスカーは悪くないと思うから。ただただ運が悪かっただけなんだから。
唯一悪かったところは、敵ライオンに密告してしまったことぐらいだ。そりゃ、自分の兄弟があんなに優秀で、好きな女の子まで取られたら、嫉妬に狂って正常な判断能力などなくなってしまうだろうに。
では、スカーはどうすれば幸せになれたのだろうか。幸せまでの3ステップを考えてみた。
①変えられないものを受け入れる
②権威に迎合するのをやめて、自分の頭で考える(自分軸で生きる)
③コミュニティを変える
これは、現実世界にも当てはまる。
皆さんは、こんな言葉があるのをご存知だろうか。
「神よ
変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、
変えることのできるものと、変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。」(ニーバーの祈り)
スカーにはこの言葉を送りたい。できれば、闇堕ちしてしまう前に。
スカーの運命は明らかに辛すぎる。そんな彼には、辛い現実に真正面から向き合う勇気がまだ足りなかったのではないだろうか。いったん辛い現実から距離を置きながらも、現実逃避するのではなく、それを受け入れ、自分を抱きしめてあげて欲しい。可能なら、私が抱きしめてあげたい。そうして悲しみきった後には、現実と向き合う勇気が出てくるはずだ。
次に、スカーに象徴的なのは、②の「権威に迎合する」というところである。象徴的なシーンは2つあって、敵ライオンに寝返るシーンと、最後にムファサにへつらうシーンである。彼は、権威に迎合することで、自分で考えることをやめてしまったのだ。
確かに、権威に迎合することは、楽だし、責任を負わなくていい、勇気も出さなくていい。ただ、そうしていると、いつまで経っても自分の人生は歩めない。幼少期から、彼にはその傾向があったが、彼には幸せな人生を歩んでほしいので、少しずつ自分と向き合っていって欲しい。
まず①のステップで現実と向き合う準備ができたら、次は自分で考えて、他人の意見に従うのではなく、自分の価値基準で生きよう。ムファサの隣だと自分とムファサを比べてしまうなら、一旦ムファサとは距離を置こう。そして、自分の好きなものを見つけて、何が好きかを言葉にして、共感してくれる仲間を見つけよう。世界は広い。きっと受け入れてくれる人たちがいるはずだ。そこで新たな人生をスタートさせよう。
最後になるにつれて言葉に熱がこもってしまったが、私の思いはスカーに幸せになって欲しいのひとつだけである。