12年越しのアイラブユー
Side-A
《5》
「寒っ、」
知らないうちにソファーでウトウトしてたオレは
冷えた肩をさすりながら
時計を見た。
3時10分・・・
床に転がった携帯を拾い上げると
『新着メール1件』
の文字。
こんな時間に誰からのメールかなんて
瞬間的に確信を持って分かっちゃって
ドキドキしながら
メールマークのボタンをコチリと押した。
『観てくれてありがとう。今反省会終わりました。』
翔ちゃんらしい、
ぶっきらぼうなメール。
『観てくれてありがとう』
きっとみんなにも言ってるんだって思っても、
やっぱり翔ちゃんからの『ありがとう』は嬉しくて、
胸の奥が
ふわっとあったかくなった。
受信時間を見ると15分も前。
もう帰っちゃってるかな、
まだ、間に合うかな?
オレ寝ちゃってると思ってるかな、
きっと夜中だから気を遣ってるよね?
「ぅわぁ〜、くっそ、なんで気付かなかったんだよオレ!」
独り言を言いながら返信を書き始める。
『翔ちゃんおつかれ!遅くまでかかったんだね!翔ちゃんさえ良ければ今からでも、』
あ・・・、
でも待って、
もしかして疲れてて断りたいのかな?
だから、
『終わりました』の続きがないのかな、
どうしよう、
押していいかな、
メイワクかな、
『今からでも』
の続きを書こうとして指が止まる。
えぇい、断られたってダメ元だ!
『おつかれ会しよう待ってるね!』
送信ボタンを押して、
携帯を両手で挟んで祈った。
「神さま!どうかしょおちゃんが来てくれますように!」