始まりのお話→ChainedMoons/PARADOX
#5
あとでバレて怒られんのもヤだったし、
映画のロケもハードだったし、
どっちにしろ翔ちゃんの仕掛けたサプライズが毎日あったから
結局ニノんちなんて行ってる暇なかったんだけどね。
・・・翔ちゃんはあんま、ゲームとかやんないからなぁ~
きっとおれとニノがゲームの話で盛り上がるのが面白くないんだろうなって思う。
翔ちゃんどんだけ負けず嫌いなんだよって、おかしくなっちゃうけど。
「ふふ。」
思わず笑っちゃったおれのこと、
今度はカラダを離したデビルニノが片目をつぶって指をさす。
「・・・大体ね、アナタ大げさ過ぎんのよ!
ほんの数日離れるだけでそこまで落ち込めるもんですか?」
「べっ、別に、おれ落ち込んでなんか・・・」
「よく言うよ!アンタこないだの取材ン時、ことあるごとにアホみたいに口開けてボーっとしてたくせに・・・」
「してないよ?!えっ、うっそ!マジで?!してた?!」
動揺して顔に血が集まるのを感じながら、思わず手で口をおさえる。
マジか、やべぇ~、昨日の収録は大丈夫だったかな?
「・・・んなこたない、相葉ちゃん、よく頑張ったよ?ふふ。」
一瞬で空気をほんわりとした温かさに変えて
リーダーがニコニコ笑いながら近づいてニノの横から入り込んで来ると
後ろからおれの頭を何度も撫でてくれる。
助け舟~!って思いながら、頭を撫でられたままニノの方に向き直す。
「ほらぁ~!
ゆっとくけど、おれ、さっきマツジュンにも頑張ったってほめられたんだからねっ?」
「フッ、褒めてねーし!」
味方と思ってた松潤に言われて慌てて声のした方向を振り返る。
「・・・えっ? だって、さっき・・・!」
「思ったよりマシだったって、そう言っただけだし。」
・・・あ!そか。
ヤバいヤバい!
リーダー返さないと松潤の機嫌がっ!
松潤が流した視線の先にリーダーがいるのに気付いて慌ててリーダーを押しやって離れると、
松潤はリーダーとおれを一瞥して フフン、て満足そうに笑うと
「あ、そうそう」
って小さく言いながら自分の荷物の中から何やら紙袋を取り出した。
「これさ・・・翔さんに食わしてやって?
どうせ今日一緒に帰るんでしょ?」
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