Before the flight #6 | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

ある時は嵐情報。またある時は櫻葉妄想小説。自由に生きております。
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Side-Aのお話→ExchangedMoons#6
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Moon#6




もうあと少しで甘美な柔らかさに触れようというところで、

雅紀の掌に邪魔をされる。




「・・・何?」




自分の口に手を当てて目を見開いて何か訴えようとする雅紀に、

あからさまに不満の念をぶつける。

すると、反対の手を目の前に差し出された。


なんだよ、どういうことだよ・・・



 
「お前・・・まさか・・・ 

こっちにキスしろとか・・・?」




ブンブンと、首を縦に振ってみせる雅紀。




「はぁぁぁ~? ふざけんなって! お前、ディズニーチャンネルのお姫様かよ!」




怒りというか、呆れというか、

何とも言えない気持ちにさせられて目の前のコイツをどうしてやろう、という気になる。

なんとか言えよ、と思いながらその瞳を射るように見つめる。


それでも口を塞いだまま黙って手を差し出し続ける雅紀の目の奥に

揺るがない決意のようなものを感じて・・・

自分の心を戒めるように深くため息をつく。

そうしてわずかに震えるその手を取り、そっと唇を押し付けた。




雅紀は時々・・・

頼りないようで、しっかりと現実を見つめていると感じることがある。


普段明るく笑っていて周りを明るくするくせに

楽屋とかで、ふと、その寡黙さを覗かせることがある。


いつも仕事にも対人にも全力で向かい合って

見ているこっちがハラハラするくらい無防備になる雅紀・・・


華奢なカラダで、どこにそんな強さを隠してるのか・・・



儚げに見えて、強い・・・



けど、脆い・・・




そんな雅紀に

俺は惹かれ、

捕らわれるんだ




どうしようもないくらい

愛してる・・・



 
大切にしたい。何もかも。


護ってやりたい。何からも。


赦されるなら

お前を閉じ込めて

俺だけのものにしたいとまで強く想う・・・




天使の顔をして俺を狂わせる

妖艶な堕天使・・・




飽くることなく

何度も何度も

その天使の御手に触れることが許された

ただ一人の人間のような気分でキスを繰り返す。



この感触を覚えて旅立つために・・・



すると、俺の頭の上の方から遠慮がちに雅紀の声。




「・・・もぉいぃ?」




到底離れ難く、

自分でも女々しいと思うがこの手を離すことができない。


触れるだけの接吻ではこの気持ちを満たすことはできない。


せめて、この手を舐めさせて・・・


想いのままに、雅紀のきめの細かい手の甲に舌を這わせる。




雅紀の手が僅かにピクリと反応してキュッと力が入るのが分かる。


目を閉じて唇に、舌に、意識を集中させれば・・・


ほら、雅紀の感じてる可愛い顔が目に浮かぶ・・・




やべ・・・凄いな、雅紀。



俺・・・手の甲にキスするだけでも気持ちが昂ってく・・・



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