チラチラと時間を気にしながら誕生日を祝ってもらって笑顔いっぱいの雅紀の様子を伺う。
「翔さん、今夜は一緒に帰るんでしょ?」
俺の目線と同じところへ視線を流した松潤がそっと耳打ちする。
「あぁ、そのつもりだったけど、この様子じゃ0時はキビシイかもな」
そう言うと、肩でトン、と軽く突かれてウインクされた。
スタッフに囲まれた雅紀の元に歩み寄った松潤は、一言二言交わすと、雅紀の肩を抱いてこっちへ来る。
「もうこっちは大丈夫だからさ」
そう言うと松潤はジュニアの中でも飲める口のメンバーを数人連れてまだ盛り上がるスタッフの輪に帰って行った。
「お言葉に甘えちゃおうよ、しょぉちゃん」
ちょっといたずらな目をして雅紀が俺の手を取って、会場の端でじゃれ合ってる智くんとニノのところへとグイグイ引っ張っていく。
「りぃだぁとニノ、おれっちそろそろ。」
「ぅんっ?おぉ、もぉそんな時間かー、うん、相葉ちゃん、おめでとうな。お疲れさん」
「ありがとりぃだぁ❤︎」
「翔さん明日は夕方から収録でしょ?程々に~」
「あぁ、うん、まぁ俺は大丈夫だから」
「ちょっ!しょぉちゃ!////」
「ハイハイそこまで聞いてませんし聞きたくないですから早く帰ってください」
「もぉっ!ニノっ?」
「ンフフ。またね翔くん、相葉ちゃん」
からかわれながら会場を後にする。
我ながら暖かい、心の広いメンバーに恵まれてると感謝する。
マネージャーが先回りして待たせてくれたタクシーに乗り込んで、雅紀のマンションへ。
車窓に流れるイルミネーションを眺めながら、運転手さんに気付かれないよう脱いだ上着の下でそっと指を絡める。
マンションのロータリーでタクシーを降り、ぐるりと回った方の住人専用エレベーターから直接フロアへ向かう。
防犯カメラの死角で、雅紀からせがむように顎を上げてパーソナルスペースの内側へ入って来た。
ステージ上ではどうしても受けてやれなかったその唇を今は、と唇の隙間に水分をたたえた厚みを滑り込ませる。
「・・・んっう・・」
息をも塞いでしまって、雅紀から切なく声が漏れる。
自分から来といて、声・・・とかさ。
チュッ・・・
「煽んなって、ゆっくり愛してあげるから」
「ん・・・早く、ギュってして」
ポォン・・・
エレベーターがフロアへ着いたことを知らせる。
カチャ・・・リ
玄関の内側、鍵が閉まる間も無く、
お互いに貪るように熱を交わし合う。
「んっ・・・、ふ、」
呼吸困難になった魚のように息継ぎを探しながら腕に力を込めて引き寄せ合う。
「0時・・・に、なる・・・よ、雅紀・.・・誕生日、おめでとう。」
「ありがと・・・」
来年も、再来年も、そのまた先もずっと、俺が一番に祝えますように。