Trick or ... #11 Side-S | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

ある時は嵐情報。またある時は櫻葉妄想小説。自由に生きております。
腐寄りにつきノーマルアラシックさまは速やかにご退出くださいませ。

前回のお話




雅紀のおでこからそっと唇を離し、その表情(カオ)を見る。


黒目がちな瞳が揺れ、何も言わないまま、右の目から涙が零れ落ちた。




ズキン・・・




胸が深く、鈍く疼き、指先に痺れが走る。




「なんで・・・」



なんで泣くんだよ


ヤメロよってこの腕を振りほどいてくれたらいいのに


クッソ・・・殴られた方がまだマシだよ



雅紀の涙に心を乱されながら左手の親指で拭う。


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こうなってもなお、掌に収まってしまうほどの小さな顔がたまらなく愛しさを募らせる。



「雅紀・・・ごめんな・・・困る・・・よな?」


「謝んないで・・・しょぉちゃんは・・・わるく・・・ないよ・・・」


「いや、ゴメン・・・」


「おれは・・・いいよ・・・でも・・・」




雅紀の両手がグッと俺の二の腕を掴んで力が入る。


前髪の間から一瞬見えた強い光を秘めた瞳に、ドキンと胸が鳴る。


気のせいだった?


次の瞬間にはいつもの優しい雅紀の瞳に戻ってて、凄く思い詰めたような顔で・・・



「ごめんね・・・さいご、だから・・・」



そう言って、唇が重ねられた。



えっ・・・

何が起きているのか・・・


雅紀は俺とそうなることに抵抗があったんじゃないのか?




「・・・んっ・・・」



雅紀の吐息と共に角度を変えて舌が、深く探ってくる。



ジャア ナンノ ナミダ ?



「っ・・・、・・・んっ・・・」



思考がついてこなくて無抵抗、無反応の俺の舌を夢中で絡め取ろうとする雅紀が、まるで夢の中の出来事のように思えて・・・


ハッと我に返ってその舌を追いかけようとした時、フッと唇が離れ、二の腕から雅紀の体重が離れようとした。




「ゴメン、忘れて?おれも全部忘れるから。」

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ソファーから上半身を起こして慌ててその腕を掴み返す。




「待って・・・どうして?」


「えっ・・・」


「なんで泣いたの?なんで、キスしたの?なんでごめんなの?」