「お疲れ様でーす」
「おつでーす」
レギュラー収録が終わり、みんなそれぞれ次の現場に向かったりプライベートへシフトしたり。
俺は、駐車場への専用エレベーター横の自販機の陰で、そんなに飲みたくもない缶コーヒーを飲みつつ、携帯でニュースをチェックしながら時間を潰す。
「それじゃ、お疲れさまでしたぁ~!お先で~す!」
角を曲がりながら近付く鼻にかかる独特の優しい声に、慌ててコーヒーを飲み干してゴミ箱へと投げ入れる。
「お疲れ、雅紀。」
「あれっ?!しょぉちゃん!どうしたの?もう帰ったかと思った。」
「うん、雅紀をね。待ってた。」
携帯をバッグに放り込み、下向きのボタンを押しながらそう言って振り向くと雅紀が慌てたようにキョロキョロと周りの様子を伺い、中途半端な笑顔でこっちを見た。
「えっ?!」
「はははは。雅紀、意識しすぎ!」
「だっ・・・!だってしょぉちゃん、なんか最近ヘンだよ、あのハワイ
!・・・からさ・・・」
周りに聞こえないように潜めた声で言いながら上目遣いに睨みつけ、カァァ、っと耳まで赤くなったのをキャップを被り直して誤魔化す雅紀を可愛いなぁ、って眺めちまう。
「なぁ、今度の休みさ、予定空いてるか?急だからダメかな?」
まだ少し赤らんだ頬のまま、ちょっと待って、と言って携帯を取り出して長くて綺麗な指を画面に滑らせる雅紀。
その白いうなじに今キスをしたらどんな可愛い反応するだろうなんて考える俺。
→【2】